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社長対談

対談 キユーピーが大切にしていること

写真:株式会社JOYWOW取締役会長 阪本 啓一氏とキユーピー代表取締役社長 鈴木 豊氏の対談〜1919年の創業以来、キユーピーは食に関わる一企業として「楽業偕悦」を社是とし、大切にしてきました。こうした社是や社訓、経営理念に込められた意味をどう従業員に伝えていくかなどについて、「CSRとスロー・ビジネス」というテーマで日経CSRプロジェクトにも参加され、人間を中心に据えた経営、人材育成を通じた組織改善を提唱されている阪本啓一氏と当社代表取締役社長の鈴木豊が対談しました。〜

阪本

写真:阪本 啓一氏

今日はよろしくお願いします。
私は昨年JOYWOWという会社を立ち上げたのですが、御社の社是の「楽業偕悦」が、JOYとWOWなので、非常に共通したものを感じました。昨年の報告書などを読ませていただいても、私の考えと重ね合わせるところが多く、今日はその点をより深くお伺いしたいと楽しみにしていました。
会社の世界観や哲学、社会に提案したい価値は、額縁に入ったものではなく、社員一人ひとりの行動ですとか、日常の電話での受け答えに表れるものだと思います。いくら良いことを言っても、日常の仕事の中で行動に表れなければ駄目で、一人ひとりが大事なのだと。そういうところに非常に共感できるのですけれども、何か大切にしていることはあるのですか。

鈴木

写真:鈴木 豊

そうですね。会社の価値観を一人ひとりが大事にしていくことはもちろん大切なのですが、それ以前に、自分自身がどう考えているかが重要だと考えています。社是だ社訓だ、経営理念だと言っても、まずはそういった価値観と対峙する自分を自覚することが、一番大事だと思いますね。

どんな社是社訓でも、自分とは関係ないところにあって、たまたま後輩に質問されれば解釈を話すだけのものでは意味がありません。この考え方でやっていこうよという自分の考えがなければ、本当の意味で説明をしているとは言えないでしょう。
一人ひとりがまず一本一本の木として自覚し、その上で、林や森といったチームや会社の中での位置を考えていくことが、一番大事なことだと思います。

先日、新入社員の研修があったのですが、そこでもその話から始めました。
みなさんはキユーピーに入社しました。これはキユーピーとの縁が結ばれたということです。食品会社ですから、正直・誠実ということが、キユーピーがみなさんと縁を結ぶ上での第一番目の基本です。ではみなさんは、これからキユーピーとの縁をどのように作っていきたいでしょうか。
みなさんは友達や恋人と付き合う時に、この人はどんな人だろうか、どんな生き方をするのだろうかと興味を持ちますよね。「キユーピーさん」は、社是社訓という考え方を持っていて、これからこうしていくというめざす姿、経営理念を持っています。そんな「キユーピーさん」と対峙し、付き合える自分を、あなたたちは発見して欲しい。そんな話をするのです。

阪本

自分が主体的になれるかどうかということですね。

鈴木

そうです。その考え方を拡げていくと・・・あの、話がどんどん飛んでも良いでしょうか。

全体最適を考えるための3つの力

阪本

結構ですよ。

鈴木

私はリーダーの条件として、明確なビジョンを持って実践する人ということが一つ目の条件だと思っています。
二つ目は全体最適の視点で決裁する人。そしてチームのメンバーに成長する悦びを与えることができる人。この三つが、私の考えるリーダーの条件です。
この中で「全体最適の視点で決裁する」というのは、自分が全体最適をどう捉えているのかを、きちんと分かっていなければなりません。ところが、全体最適を行ったら何が良いのか考えないことがあります。全体最適とは何かという問いに、「全体最適は全体最適です」と答えてしまう。自分にとって全体最適とは何か、強く考えていないのです。

阪本

主人公を自分、主語を自分にして考えていないということですよね。

鈴木

そうです。全体最適を考える時でも、まず自分がやりたいことやできることを考え、それを会社全体の目的とどうやって近づけていくかが大事になると思います。
社是社訓でも経営理念でも、関係ないよと済ませるのではなく、自分自身できちっとつなげて考えることを、私は「主体化力」と言っています。この主体化力がなければ、全体最適は生まれません。自分の考えを周囲につなぐには、主体化力が必要なのです。

写真:鈴木 豊

また、組織では1人でやっているわけではないので、必ず周囲と連携をしていかなければなりません。その時には、自分はこう立ち向かうのだと意思表示をしていかなければいけないですよね。それが、分かりやすくみんなを束ねる「連携力」につながります。
この連携力は、たいへんな効果を生みます。ただ、一見ありそうにみえて連携がない時もあります。「私はつらいから、いち抜けた」ができてしまうことってありますよね。

阪本

確かにありますね。

鈴木

でもそれではただ集まっているだけです。本当の連携を結んだら、申し訳なくて抜けられないはずなのです。

そんな連携が生まれると、一人ひとりが知恵を出すようになり、やろうという力、突破する力をチームが持つようになります。私はこれを「突破力」と言っています。主体化力があって、連携力があって、突破力があったら、自分ひとりではなく、みんなのチームワークで仕事を進めていくことができる。それが社是である「楽業偕悦」の考え方なのです。

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