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卵の有効活用

卵の可能性

卵は、産卵してから21日間温められると、殻が割れてひなが生まれます。卵からひなが誕生する過程においては、卵黄から生体ができ、卵白は卵黄を守る羊水のような役割をし、骨格は卵殻のカルシウムを取り込んで作られます。卵には、命のもとになるものがすべて詰まっていて、何ひとつ無駄なところがなく、驚くほど高い栄養価と重要な物質を含んでいます。
命の源である卵を余すところなく有効活用したいというこだわりから、卵の微量成分にまで注目したさまざまな研究開発を行っています。

■卵黄

卵黄

マヨネーズの原料になる部分。たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、ひなが成長するためにきわめて重要な物質が含まれています。

■卵白

卵白

ひなが生まれるまでの栄養源となるほか、一部の細菌を溶かす作用のあるリゾチームをはじめ、多くの抗微生物成分を含み、雑菌から卵黄を守っています。

■卵殻

卵殻

ふ化中の胚の発育に必要なカルシウムを供給して、ひなのカルシウム源として重要な働きを担っています。

■卵殻膜

卵殻膜

卵殻の内側についている薄い膜で、相撲力士たちの間では裂傷などのケガの治りを早めると言われたり、中国の古い文献でも傷の治療に使用した例が記されるなど、皮膚に有効な生理活性を持っています。

Message:卵に秘められた力を最大限に!

卵1つから1つの命が誕生します。生まれてくる命は卵黄、卵白、卵殻、卵殻膜すべてを使って雛になります。雛にとって卵にはムダがありません。私達にとっても卵はもっともっと有効に活用できるはずです。これからも卵に秘められている力を見出し、広く活用していきます。

写真:江崎 智弘(キユーピー 研究所 タマゴR&Dセンター)

江崎 智弘

(キユーピー 研究所 タマゴR&Dセンター)


B.卵殻・卵殻膜の有効活用

■卵の殻も100%活用しています

当社グループでは1年間に約40億個の卵を使用し、その副産物として発生する卵殻の量は2万3000トンにも及びます。これらの卵殻は、以前は廃棄物として埋め立てられていましたが、環境保全の面から、1950年代より再生利用への取り組みを始め、現在では当社グループで発生する卵殻を100%再資源化しています。さらに、卵殻と卵殻膜が持つ成分や性質に着目して、これらをより価値のあるものへ生まれかえらせるため、高度利用へ積極的に取り組んでいます。

卵殻・卵殻膜の有効活用の例

■卵殻粉

卵殻のカルシウムは多孔質な構造になっているのが特徴で、体内への消化吸収に優れています。さらにカルシウムの排出を促すリンの含有量も少なく、理想的なカルシウム補給源と言えます。そこで、カルシウム強化を目的とした「カルホープ」(食品用卵殻粉)を開発しました。大きな社会問題となっている児童の骨折率の増加や骨粗しょう症対策へ向けて、幼児食や介護食などへの利用開発にも積極的に取り組んでいます。さらに、麺のコシをよくしたりスナック菓子の口当たりをソフトにするなどの効果もあり、食品の食感や物性改良にも利用しています。
また、食品分野以外での卵殻の有効活用を進めるため、異業種の方と共同で、チョークや建築用素材など新たな用途拡大へチャレンジしています。

卵殻カルシウムの構造の特徴

写真:卵殻カルシウムの構造の特徴

卵殻カルシウムの骨の減少を
防ぐ効果について

骨粗しょう症は、骨の密度が低くなり、骨がもろくなって折れやすくなる病気で、近年、社会の高齢化とともに大きな問題となっています。高齢者の女性を対象に卵殻カルシウムの骨への影響を調べたところ、卵殻カルシウムを食べると、骨を壊す働きがある副甲状腺ホルモンの量が減少することがわかっています。

副甲状腺ホルモンの量(pg /mL)

グラフ:副甲状腺ホルモンの量

(阪和泉北病院内科 正木秀樹先生、大阪市立大学 西沢良記先生 他 Osteoporosis Japan vol.8 No.2 2000)



■卵殻膜

当社グループでは1980年頃から卵殻膜の有効活用の研究を開始しました。卵殻膜は溶解しにくいという性質があり、利用にあたっての大きな障害となっていましたが、卵殻膜の可溶化技術の確立によりこの障害をクリアし、高度利用への道が一気に開けました。
まず、化粧品原料「EMプロテイン」を開発しました。この「EMプロテイン」は皮膚の細胞のV型コラーゲンを増加させる機能を持つことが分かっています。この卵殻膜の持つ生理活性に着目し、肌に直接触れる製品としての応用開発に、他社と共同で取り組んでいます。卵殻膜を平均5マイクロメートルのパウダーにした「EMパウダー」を天然繊維に配合させた新素材を開発し、衣類に応用しました。この新素材を利用すると、肌触りがよくなるだけでなく、皮膚の弾力性や張りが向上することも確認しています。

卵殻膜の主な特性

  • ヒト真皮線維芽細胞(皮膚の細胞)に高い親和性があります。
  • III型コラーゲン量を増加させる効果があります。
    III型コラーゲンは皮膚の柔軟性やみずみずしさに重要な役割を果たしています。
  • 高い保湿性があります。
  • 金属吸着能があります。
  • アンモニアなどのにおい成分の吸着効果があります。

卵の殻からフィールドライン 〜グリーンテクノ21様との取り組み〜

写真:フィールドライン

ゆで卵を製造しているキユーピータマゴ栗源(くりもと)工場では、卵殻を利用したさまざまな製品を販売している(株)グリーンテクノ21様と協力して、卵殻を細かく粉砕したフィールドライン(ライン引き)の製造を始めました。土壌改良剤にも使われる卵殻を利用したこのフィールドラインは、芝を傷めることもなく、人体に対しても無害なため、消石灰を利用したフィールドラインに変わるものとして期待されています。
従来栗源工場では、自工場を含めた千葉県内にあるキユーピータマゴの3つの工場から出る卵殻を粉砕し、肥料や飼料の原料としていました。今回の取り組みは、(株)グリーンテクノ21様が卵殻をより細かく粉砕する機械を栗源工場に設置し、栗源工場がフィールドラインとして最終製品に仕上げて出荷、(株)グリーンテクノ21様が販売するというもので、卵殻を運搬するエネルギーやそれにともなう環境への負荷を抑えることにつながっています。
工場で発生している1日約8トンの卵殻のうち、約半分がフィールドラインとなって、(株)グリーンテクノ21様を通じて小学校などに販売されています。

(株)グリーンテクノ21
http://www.green-21.com/

写真:宮川卓也(キユーピータマゴ株式会社 栗源工場)

宮川 卓也
(キユーピータマゴ 栗源工場)

社会的な価値を考えながら取り組んでいきます

このフィールドラインは、卵殻の再資源化による環境配慮だけでなく、学校のグランドで運動する子どもに安全な環境を提供していくという、卵殻を使うこと自体に意味のある製品です。

収支面ではまだ課題を抱えていますが、そんな社会的な価値を考えながら、もっともっと積極的に取り組んでいく必要があると感じています。

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