Special interview 2

減塩メニューは将来有望

― では、中食(*)や外食に携わる企業はどうでしょうか。

トマト

  「企業は基準を強制的に守る必要はありません。でも、責任重大だと思います。日本では味噌汁や醤油など自宅でできる減塩がかなり進みましたが(注2)、中食や外食で何の気なしに摂取している食事の減塩は進んだとはいえません。むしろ中食、外食が一般化したことで塩分の摂取が増える心配すらあるのです。
  ぜひ、中食や外食関連の方には、減塩メニューの開発に積極的に取り組んでいただきたいです。今後病院で減塩するよう指導される人がますます増えていくと、よりたくさんの減塩商品が求められるようになるでしょう。つまり減塩の市場は豊かな将来性があるのです。コンビニエンスストアのなかには、減塩弁当に着手している会社もあり、若い女性やビジネスマンに人気と聞いています。今後はさらに、高齢者や在宅療養中の方へも減塩志向が広がっていくと確信しています。」

食塩相当量摂取の推移

(*)中食

レストラン等へ出かけて食事をする外食と、家庭内で手作り料理を食べる内食(ないしょく)の中間にあって、市販の弁当やそう菜等、家庭外で調理・加工された食品を家庭や職場・学校・屋外等へ持って帰り、そのまま(調理加熱することなく)食事として食べられる状態に調理された日持ちのしない食品の総称。
(農林水産省ホームページより)

減塩再認識!!

― それでは、私たちにとって新基準はどんな影響があるのでしょうか。

とうもろこし

 「食塩の摂り過ぎは体に悪い、漬物や味噌汁を減らす、味噌汁はうす味で、といった一般的な工夫はすでに知られています。でも、見せかけの減塩に安心していませんか?
 世の中には『減塩のため塩や醤油をあまりかけません』といいながら、ウインナーやベーコンが大好きでよく食べるという人がたくさんいます。これ、けっこう食塩を摂っているはずです(笑)。こういう方は、先ほども説明した加工品や中食、外食に含まれている食塩にも注意が必要です。また、食塩を多く摂ることは、高血圧や心臓疾患などの循環器病の他にも、胃がんや骨粗しょう症のリスクを高めることが知られています。たとえば胃がんの罹患率を都道府県ごとに調べてみると、上位には食塩摂取量の多い東北の県が、下位には少ない沖縄県がきます。つまり、減塩は胃がんの予防にもつながるのです。新基準が話題になり、生活習慣病予防の減塩に改めて関心が寄せられることを期待しています。」