「メイクが楽しい」という原体験を味わわせてあげたい
メイクやアートを通して、子どもの無限の可能性を引き出そうと活動されているイガリさんは、ご自身も9歳と3歳の娘さんのお母さんでもあります。日々多忙を極める中で子育てをするイガリさんは、時間をどう使っているのでしょう。
前田: イガリさんは二人のお子さんのお母さんということで、普段のこともうかがっていきたいなと思います。私も二人男の子がいまして、7歳と4歳なんですけども。
イガリ: ほとんど一緒だよね。うちは女の子二人で、有紀さんのところは男の子二人で。
前田: イガリさんはすごくお仕事が忙しそうですけども、二人のお子さんを育てていらっしゃる中で、どういう時間の使い方をしているんですか?
イガリ: とりあえず、夜か朝はどっちか一緒にいようとしています。どっちも一緒にいることの方が多いんですけど。あと、無駄に大きな声を張り上げよう、みたいな。「おはよう!おはようって言ってるじゃん!おはよう!」って(笑)。挨拶は無駄に大きな声で言うし、あとふざける時は一緒にふざけちゃおうと思ったりしてます。あと、仕事の話を共有しようと思っています。例えば18時まで仕事だとしたら、そこから(子どもが21時に)寝るまで3時間ぐらいしか一緒に過ごせないから、じゃあ今日何があったかを(話そうと)。子どもの話も聞きたいんだけど、私も話そうじゃないかみたいな。「今日これやったんだよ、かわいくない?」とかって、メイクの話をしたりしてます。
前田: 純粋に物理的に一緒にいる時間も大事ですけど、その中の濃さをすごく大事にしているのかなって思いました。
前田: ごはん作りはいかがですか?
イガリ: ごはん作りは、夜に仕事して帰ってきた後にスーパーに行ってその後作るってなると結構な時間かかっちゃうし、やっぱり脳があんまり働いてなくて。
前田: わかります!つらいですよね。
イガリ: あと野菜切るのめんどくさくないですか?野菜切ってる時に(子どもに)何か言われるとそこで中断しちゃうから。だから例えば、朝に(夕飯作りや仕込みを)終わらせることもすごく多くて。煮物とかだと、(具材を)切っておいて夜に煮るだけにして、朝仕込みをしたりすることがすごく多いです。
前田: 朝の時間を有効活用しているんですね。例えば今日だったらどんな感じですか?
イガリ: 今日だったら、昨日グラタンのソースを作ってるから、そこに具材を入れたりとか。あと肉じゃがは朝作っておいて、夜カレーが食べたいって言ったら、それにカレー粉を入れればいいやとか、そんな感じ。
前田: 朝にちょっとやっておくだけでも、夕方以降が楽になりますよね。
イガリ: 朝はすごい最高です!
朝作った肉じゃがに、夜はカレー粉を入れてカレーにしたりとか
コスメロス協会の活動の中でも、イガリさんは子どもに向けてのアプローチに特に比重を置かれている印象があります。先日開催されたイガリシノブ展のチケットも、小学生は無料、中高生は500円と学割制度を設けていたそうです。
イガリ: (子どもは)時給1時間以上のお金を私に払わないでほしいと思っているので、私が作っているコスメ・WHOMEEも(時給)2時間分とかにしています。やっぱり子どもは金銭面でのハードルがあるから、来やすくしないとなと思って(今回)学割にしました。
前田: イガリシノブ展にもお子さんはたくさん来ていたんですか?
イガリ: すごい数来ました。もちろん土日はすごかったですし、平日の夜も。平日にたまに小学生は休みの日とかあるじゃないですか。それに合わせて来てくれたので、すごいいいなって。子どもたちが元気になると大人が元気になるし。あと例えば、今0歳の子が20歳で初めてメイクする時に、私は20年後だと65歳だから、世の中の定年退職の年になるじゃないですか。そうするとやっぱりメイクを教えてあげられないから、今のうちに子どもたちにコスメの楽しさだけは教えてあげたい。コスメって楽しいだろう、すごいだろうみたいに教えておけば、(20年後)私がヘアメイクをやってなくても、その人がヘアメイクをしていると思うから。すごい余計なお世話なんですけど、思う存分教えてあげたいので、それを目標にしているって感じです。
前田: 楽しかった子どもの時の原体験があると、将来のコスメとの向き合い方も変わっていきそうですよね。私もお花のお仕事でキッズワークショップをやったりすると、意外と土に触るのが初めてなお子さんもいらっしゃって、そんな中でやっぱりお花にたくさん触れる体験ってすごくしてほしいなと思って。お子さんたちが大人になった時に花を大切に思ったり、もっと言うと自然や地球環境を大切に思う心を育てる一歩になったらいいなと思っているので、なんかすごく共感します。原体験、大事ですよね。
イガリ: 何においても大切だと思います。
前田: イガリさんは、この6月にWEBメディアで親子メイクレッスンの連載もスタートされたんですよね。それはどういうきっかけだったんですか?
イガリ: 今の子たちってSNSを当たり前に見る中で、大人が思っている以上にすごい量の情報があるんですね。真似したいのが親とか身近にいる人ではなくて、画面の中のお姉ちゃんお兄ちゃんだったりするじゃないですか。モニターの中に真似したいものがあるから、それ(に近づくためのメイク)をきちんと教えてあげなきゃなっていうのを思ったりして。そこにいくためにはいろんな過程があるんだけど、その過程は(そこには)出てないじゃないですか。だからその過程をちゃんと教えてあげなきゃいけない。あとはやっぱりメイクには歴史ってものがあって、歴史に沿ったものをやっていれば友達からズレないんですね。友達からズレちゃうと、多分ちょっと恥ずかしいとか嫌だとか、「私って…」ってなっちゃうから、そうじゃないところを教えてあげたいなということで、親子の連載をスタートしましたね。
前田: 実際にイガリさんのお子さんはメイクに興味を持ってらっしゃいますか?
イガリ: めっちゃ持ってます。(9歳の娘は)「涙袋描かないと出かけらんない」って言うから。でもそれにしては起きてくるのが遅いから、この間「涙袋描きたいんだったら30分早く起きなきゃいけないよ」って言って(笑)。そしたら「やばい、涙袋描かないと出かけらんないから起きなきゃ」って30分早く起きるようになって。
前田: うちの子も、長男の方は(髪を)真ん中分けにしたいって、すごい鏡を見て真ん中に分けようとしていて。
イガリ: かわいい〜。
前田: 次男は私がお化粧しているのをいつも隣で見ているので、僕もお化粧するって言って、アイラインをほっぺたにベーってぬったりして。なんかすごく楽しそうに、お化粧や自分のありたい姿っていうのを子どもたちなりに模索しているんですよね。なのでメイクって、男女関係なく開かれていて、自由な自己表現の場なんだなっていうのを改めて思いますね。ありたい姿になるまでの準備時間っていうのが、コミュニケーションの場にも我が家はなっているなって思います。
イガリ: うちもすごいなっています。例えば、ギャルたちがつけまつげをつけていたら自分(9歳の長女)もつけたいんですよ。でもやっぱり(つけまつげには)ノリというものが存在して、 ノリというのはじゃあ何なんだ、肌に対してはどうなんだって話になって。もしかしたら早いかもしれない、だけど「やってみればいいじゃん!」って。やってみたら「かゆい〜」って言うから、ほらねって言いながら覚えればいいかなと。体験をさせなきゃなと思ってます。
朝作って夜おいしい!作り置きに助かるタコライス風
ゲストのためにGREEN KEWPIEを使った料理を食べていただく「みんなにうれしいGREEN KEWPIEレシピ」のコーナー。イガリさんへの3品目は、お豆がゴロゴロ入ったタコライス風です。朝に夜ごはんを作っておくことが多いというイガリさんに、置いておくことでより味がなじんでおいしくなるメニューをご用意しました。
前田: 作り置きのごはんって、置いておくことで味がなじんでおいしくなるものがありますよね。逆に時間が経つと水分が出てしまってベチャっとしてしまうものもあると思うんですが、今回は朝作っておくと夜にもっとおいしくなるメニューをご紹介します。題して、『朝作って夜おいしい!作り置きに助かるタコライス風』です。
イガリ: うれしい〜!
前田: 今回は、GREEN KEWPIEの「植物生まれのボロネーゼ」を使ったレシピです。チリビーンズでよく使われるレッドキドニーではなく、キユーピーの「サラダクラブ 北海道コーン」と「サラダクラブ 10種ミックス(豆と雑穀)」を使いました。朝作っておくと味がなじんで夜もっとおいしくなるので、作り置きにももってこいです。さあ、いただきましょう。
イガリ: いただきまーす。うーん、優しい。
前田: 豆や雑穀とお米の食感が混ぜ合わさって面白いですし、それにこの「植物生まれのボロネーゼ」がよく絡んで、本当に味わい深いですね。
イガリ: え、おいしい。なんでこんなに味がしっかりあるんだろう。めっちゃおいしい。(具材とGREEN KEWPIE商品の)組み合わせ最高ですね。
前田: そうですね。タコライスいいですよね。
イガリ: 私、朝にミートソースを作っておくことがめっちゃ多くて。夜パスタにも転がれるし、ドリアにも転がれるじゃないですか。お米食べたいのかパスタなのかっていうので転がれるから、(このタコライス風は)それの変化版って感じですごいうれしいです。
前田: 私もミートソースをふと思い立って作ることがあるんですけど、大体直前に作ってそのまま出すので、味がまだなじんでない状態で出しちゃって。もうちょっと寝かせたいなって思うので、イガリさんのように朝作るっていうのはすごくいいですね。
イガリ: そう、楽ですよ。朝にやるのすごくおすすめです。
前田: イガリさんは、以前ヴィーガン料理の教室に通ったことがあるそうですね。そういう時はやっぱり、ひき肉の代わりにお豆を使ったりしてましたか?
イガリ: 唐揚げ(を作る時)もそうだけど、豆(を肉の代替にすること)がすごく多くて、豆ってこんなに可能性があるんだと思いました。子どもの頃はあずきとかあんこしか知らないような感じだったから、豆ってこんなにおいしいんだっていうのをそこで知って。あと、豆が入ることによって食感をしっかりと感じて、口の中で流れていかないじゃないですか。よく噛むこともできるし、豆っていうのはすごくいいなって思います。
前田: 日本人にとって、昔から実はお豆が身近な存在なはずなんですよね。だけど水に戻したりもなかなか大変だったりして、縁遠くなりがちなんですけど、今は気軽に手に入るものもいっぱいあるので、水煮とかもうまく使ってお豆も活用したいですよね。
豆や雑穀とお米の食感が混ぜ合わさって面白いし、味わい深いですね
めっちゃおいしい。組み合わせ最高ですね!
もっと地球がうるさくなってほしい!
メイク法にも独自の発想が光るイガリさんですが、子育てにも独自の理論を持っていらっしゃいます。イガリさんファミリーはにぎやかなご家庭のようですが、最近は「地球が静かなこと」が気になっているそう。
前田: イガリさんが子育てで大事にしているのはどんなことですか?今は携帯を持っている人も多くて、比較的静かなコミュニケーションが多いですよね。
イガリ: タブレットを渡しちゃうと、子どもはタブレットを見ていて、自分は携帯を見て何も喋らない1時間とかが存在しちゃいがちじゃないですか。それが世界中でそうだと考えたら、すごい静かだなって思って。昔ってもっと無駄に喋っていたし、もっと無駄に怒られていたし。喧嘩もしていたかもしれないけど、(今は)喧嘩する前に諦めて携帯の中の世界に逃げちゃってるな、地球がすごい静かだなって感じるので、地球がもっとうるさくなってほしい!うるさいってことは楽しい空気になるかもしれないし、人が気にすること(うるさすぎると嫌な人もいる)がわかるかもしれないじゃないですか。うちも(タブレットを)渡しちゃいますけど、結構気をつけるようにしています。「あと何分」みたいな区切りはしないけど、見てる時に(子どもに)絡みにいったりとかします。私はおしゃべりが苦手だから、子どもにおしゃべりが上手になってほしいと思ったけど、結局タブレットの時間ばかりになっちゃってるから、もっとおしゃべりをしたいなと。
前田: 特に、ごはんの時間とかに話すことからスタートするのもよさそうですよね。
イガリ: あとメイクの時も話できるんで。上の子がメイクする時、トイレ(の扉)を閉じてYoutubeを見ながらやっているんですよ。だけど私メイクさんだし、(娘のいる)トイレを開けてYoutube見ながら一緒にやって、「え、このメイク合ってんの?」とか言われたりとかして。無駄に会話していると、下の子がそろそろそろ〜って(コスメを)持っていって、向こうでメイク道具がうわーって(広がって)すごいことになっているんですけど、それはそれで楽しいか、みたいな感じ。すごい子どもと絡んでます。
前田: 朝の支度中、もしかしたら着替えもファッションチェックになるかもだし、いろんなコミュニケーションの可能性が暮らしの中に散りばめられていそうですよね。
イガリ: 会話って大切ですよね。会話をするとか人のことを褒めるとかができないと、自分なんか絶対褒められないから、自分ばっかりの世界に(入っていっちゃう)。自己肯定感って言うけど、他人肯定感がなかったら自己肯定感は絶対に育たないから、他人も褒めなきゃいけないし、そうなってくると会話ってすごい必要になってきますよね。自分も明るくなってくるっていうのもあって、いい相乗効果だなと思います。
子どもが自分でやりたいことを見つけてくれるとうれしい
前田: では、最後にイガリさんにうかがいます。子育てをしていて、ふとうれしくなる瞬間ってどういう時ですか?
イガリ: かわいい子には旅をさせよって(言葉が)あるけど、自分(親)からじゃなくて、子どもの方から友達の家に泊まりにいきたいとか、カナダの留学のコースがあるからそれに行ってみたいとか、自分から親元を離れて何かをしたいって言われた時は、今までの(子育ての)感じがちょっと成功してるのかなとか思ったりして、すごくうれしいです。
前田: 子育てってまだまだ手が離れるのは先かなと思っていたんですけど、十分にコミュニケーションを取っていくことで、お子さんたちの自立にもつながるんですね。
イガリ: そうですね。そうなってくるとその子のセンスだったり、やりたいことを見つけられるようになるのかなと思うので、私が見つけてあげるっていうよりも、その子自身が見つけられるといいなって。それには普段の会話もすごく重要だと思うので、日々ちゃんと会話できたらなと思います。
前田: そうですね。今回イガリさんのお話をたっぷりうかがって、お仕事も子育てもすごく楽しんで、いろんな問題ややりたいことに向き合う姿にすごくポジティブなエネルギーをもらいました。またお会いできる時までに私も頑張ります!イガリさん、楽しめましたか?
イガリ: 楽しめました!この3回(の収録)を通して、自分のやっていることが連鎖していて、共通の柱があるんだなってことに自分でも気づきました。これを軸としてもっと今後進めたらいいなって。自分的にもすごくエネルギーになった感じがします!
他人肯定感がなかったら自己肯定感は絶対に育たない
十分なコミュニケーションはお子さんの自立につながるんですね
朝の時間を有効活用しているんですね