

血圧
の話

血圧とは、身体の中でポンプの役割をしている心臓から全身に送り出された血液が血管の内壁を押す圧力のことです。血圧の値は、心臓から送り出される血液の量と、血管のしなやかさなどによって決まります。
健康診断結果などの血圧の数値を見ると、「収縮期血圧」と「拡張期血圧」と呼ばれる2つの値がありますが、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか?
目 次
・収縮期血圧と拡張期血圧 ・血圧が高くなる原因 ・血圧が高めだとなぜよくないのか? ・血圧を下げるために生活習慣や食習慣を見直そう!
収縮期血圧と拡張期血圧

収縮期血圧(最高血圧)
収縮期血圧とは最高血圧のことで、心臓が収縮して送り出す血液の量が多く、血管に最も強い圧力がかかっている時の値です。

拡張期血圧(最低血圧)
拡張期血圧とは最低血圧のことで、心臓が拡張している時の値です。

心臓が収縮し血液を送り出すと、その先の大動脈がふくらみます。心臓が拡張すると、大動脈のふくらみは元の状態に戻りますが、その間もゆっくりと血液は全身に送られています。
ところが、 加齢などにより血管のしなやかさが失われてくると、心臓が収縮しても大動脈がふくらみにくくなります。そのため、血管への圧力が高まってしまい、血圧が上がりやすくなります。
加齢などにより
血圧が上がりやすくなる


血圧が高くなる原因
血圧が高い状態になるのは、何が原因なのでしょうか。
血圧が高くなる原因には、原因を1つに特定できない場合(本態性)と、薬や病気など原因が明らかな場合(二次性)があり、日本人の高血圧の約80~90%は本態性だと言われています。
日本人に多い高血圧の原因
日本人に多い高血圧は、体質や食塩の過剰摂取、肥満など、いくつもの要因が組み合わさって起こっているのです。
血圧が高い状態になる背景としては、遺伝的要因と環境要因の2つが考えられています。
遺伝的要因とは体質のことですが、環境要因とは食生活・生活環境に起因します。
食事が食塩を多く含む濃い味であったり、過食・偏食の傾向があったり、運動をあまりしないなどの環境であれば、個人で気をつけることはもちろん、家族みんなで定期的に血圧をチェックし、健康づくりに取り組むことが大切です。
(参考)
1) 谷津 圭介ほか : Heart View 19(4) : 350, 2015

血圧が高めだと
なぜよくないのか?
血圧が高めの人は、ほとんど自覚症状がありません。
自覚症状がなくても、血圧が高めだと血管には負担がかかり続けています。そして、そのまま放置すると、血管は硬くもろくなっていき、さまざまな身体の不調を引き起こします。

ここでの血圧が高めとは、収縮期血圧130~159mmHgまたは拡張期血圧85~99mmHgのことを指しています。
この値にあてはまる場合は、放置せず今すぐに血圧を下げるための対策をしましょう。
血圧を下げるために
生活習慣や食習慣を
見直そう!
高めの血圧を下げ、正常に保つためには、生活習慣や食習慣を見直すことが大切です。
次のようなことを意識して、健康を維持する習慣を身に付けましょう。
食塩摂取量は、男性7.5g未満/日、女性6.5g未満/日に抑えましょう。今すぐできる減塩方法をご紹介します。

今すぐできる減塩方法
⚫︎香辛料や香味野菜、果物の酸味などを利用して、おいしく感じる工夫をする
⚫︎むやみに調味料を使わず、まずは味付けを確かめてから調味料を使う
⚫︎外食や加工品の利用は控える
⚫︎うどんやラーメンなどの麺類の汁は残す
野菜や果物をなるべくたくさん食べましょう。

純アルコールの量で、男性20~30ml/日以下、女性10~20ml/日以下に控えましょう。

純アルコール20~30mlに相当するのは、おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウィスキー・ブランデーはダブルで1杯、ワインは2杯とされています。
早歩き、ステップ運動、スロージョギング、ランニングのような、持久性がある有酸素運動が推奨されています。運動の強さは、無理をせず、ややきつい程度にとどめましょう。
まとまった運動の時間が取れない時には、階段を使う、歩く、掃除・片づけなど日常生活で身体を動かすようにしましょう。

BMIの標準は、18.5~25.0です。適正なエネルギー摂取や運動を含む活動量の維持を習慣として身に付けましょう。

禁煙をし、受動喫煙も避けるようにしましょう。


宇都宮 一典先生
東京慈恵会医科大学 名誉教授
医療法人財団慈生会野村病院 常勤顧問
高血圧には、食習慣を含むさまざまな要因がありますが、そのまま放置すると重大な疾病の危険因子となる可能性があります。本サイトをご覧になった皆さまには、ぜひ日ごろの生活習慣を見直していただきたいと思います。健康的な食生活・運動習慣を心がけましょう。