居酒屋メニューの開発で
意識しておくべき3つのポイント

居酒屋などの飲食店経営を成功させる大切なことは、人気の看板メニューを開発することです。しばしば話題になる看板メニューですが、実際に考案するのは難しいもの。メニュー開発に重要なポイントを3つ挙げてみました。

ターゲットを決める

看板メニューに限らず、飲食店自体の経営に関わってくることです。まずはお客様となるターゲット層をしっかりと絞り込むことが重要です。どんな方にも楽しんでいただけるお店、という考え方もあるのですが、それでは低価格なファミリーレストランなどと競合してしまうことになります。

性別、年齢、年収、休日の過ごし方など、なるべく細かく自分のお店に来てほしいお客様(メインターゲット)を設定してみましょう。頭の中で考えるだけでなく、ノート等に書いて考えることをおすすめします。

ターゲットは立地に左右されがちです。お店の近くに会社がある、住宅街、駅から近いなど、自分のお店の立地と行きかう人をもう一度確認してみましょう。自分がターゲットとする人が注文したいと思うようなものが看板メニューの候補になります。

コンセプトをはっきりさせる

ターゲットを決めたら、コンセプトをはっきりさせます。コンセプトは、お店の基本的な姿勢、考え方のことです。

具体的には、前述のターゲットをもとに、“What”で考えると分かりやすいでしょう。

What(なにを?):お客様に何を提供するのか。また、提供するメニュー、サービスを購入することで、ターゲットのお客様はどんなメリットを得ることができるのか。

あくまでターゲットのお客様にとってのメリットを考えることが重要です。つまり、ターゲットのお客様の注文の背景(どのようなことに悩み、何を求めているのか)や利用シーンを具体的に考えてみましょう。実際のターゲット層にインタビューしてみる、自分がターゲットになりきって想像してみる、といったことも役立ちます。

人気の看板メニューがあるお店は、このコンセプトがはっきりとしています。例えば、手軽な価格で山盛りにしたローストビーフの丼が看板メニューのお店は、20代前半の男性が友人を連れて行って自慢したくなるような、驚きのある飲食店。焼肉以外でお腹いっぱいお肉を食べる、がコンセプトのお店かもしれません。

パンケーキの行列店は、パンケーキに大量の生クリームやフルーツのトッピングを添えたり、リコッタチーズを入れたりした看板メニューがあります。ホットケーキよりもふんわりとした食感を実現したりすることで、友人とおしゃれなカフェで目新しいものを食べたいといった欲求に応えます。このメニューで、素敵な写真を撮りたいと思っている20代前半の女性のニーズを満たすのがコンセプトと思われます。

パンケーキのように良く知られたメニューであっても、他店に負けない魅力は引き出せます。原材料に工夫をしてこれまでと違った味や食感を作り出したり、一般的だったバターやシロップを添える代わりに生クリームやフルーツを添えたりするだけで十分。全く違った印象になり、看板メニューにすることができるのです。

Whatで分析したお店のコンセプトを様々な方向から深め、そのターゲットとコンセプトのことを考え込めば、看板メニューのヒントを見つけることができるでしょう。

オペレーションはスムーズに

最後に、HOW(どのように)を考えます。看板メニューとして打ち出しても、仕入が安定しなくて品切れが続いてしまったり、仕込みに時間がかかり過ぎてしまうのは問題です。準備に手間取ってお客様への提供が遅れてしまうといった問題があると、人気メニューにはなれません。

この解決策を二つご提案します。一つは数量を限定にすることです。限定10食のみ、といった限定品にすることで、仕入の負担を減らすことができます。売り切れてしまった場合でも、「限定品なので」と説明すれば、お客様に悪い印象を与えることも避けられるでしょう。

もう一つは 、看板メニューであるかどうかにかかわらず業務用商品を利用する方法です。例えばドレッシング。手作りのドレッシングがコンセプトでなければ、市販品を利用するのが一般的です。とくに提供時間の短縮が重要なランチや、素早く提供することが求められる居酒屋などの場合です。サラダやスープ、スイーツなどに業務用商品を使えば、お客様を待たせてしまうことが減るでしょう。短縮できた仕込みの時間は、よりターゲットに満足してもらえる看板メニューの充実に振り分けることができます。

業務用商品なら、天候不順や為替の影響を受けにくいことも仕入を安定させる大きなメリットとなります。あらためてターゲットとコンセプトを踏まえて、本当にお店にとってメリットのあるメニュー開発、仕入、提供方法を検討することをおすすめします。


まとめ

一般的には居酒屋などの飲食店を経営していたり、料理の腕に自信がある人ほど一つの看板メニューに頼るのではなく、全てのメニューがおすすめ、と考えてしまいがちです。

しかし、ほんとうにそうでしょうか?すべての人にすべてのメニューを気に入ってもらうことが不可能である限り、本当に届けたい人に届けたい看板メニューを開発することが必要となってくるのです。自分の料理をどんな人にどのように食べて欲しいのか、立ち止まって考えることが看板メニュー開発の第一歩です。

2017/02/23時点