惣菜売場は陳列とPOPの組み合わせで
美味しさを演出しよう

惣菜売場は、お店の色が出やすい場所です。売上アップを目指すにも、集客増加を狙うにも、手を抜くわけにはいきません。
思わず買いたくなるような、陳列方法とPOPの魅力的な組み合わせ。覚えておくと便利な店頭演出のポイントについてご紹介します。

ターゲット層を絞り込み共感を得やすい売場に

売場づくりで重要なのは、ターゲット選びとそれに適した売場にできているか否かという点です。
たとえば、低価格が売りのスーパーなのに高級食材をふんだんに使った高価格な惣菜ばかりを置いていたとしたら、どうでしょうか。
お客様は安くて良い品があると信じて来店されているのに、高価格な惣菜しか並べられていないと、とても買う気にはなれません。安価な冷凍食品や材料を買って自分で作ってしまおうと考えるかもしれませんし、別のお店やコンビニに行ってしまう可能性もあります。

これは極端な例ですが、このように、明確なターゲット層の設定とそれに見合った売場づくりは綿密な関係を持っています。

  • 誰に買ってもらいたいか
  • 誰にどのようなメリットがあるか

この2点は基本です。主婦・主夫層をターゲットとするなら、その主婦や主夫にとってそのお店で惣菜を買うことによってどのようなメリットがあるかを考えてみましょう。

普段は手間がかかって家庭では作れないものを、惣菜で。今日は体調が良くないから、栄養がありそうな惣菜で。このような主婦・主夫層が惣菜を買おうと思うケースを想定します。
それだけで何を置けば良いか、どんなPOPが良いか分かってきます。

しかし、これだけでは他店と差を付けられません。基本ということは、他店も当然実践していることだからです。
そこで他店と差別化するための重要な役割を担うのがPOPです。

惣菜の味や魅力をただアピールするのではなく、新しい食べ方を具体的に提案してみましょう。うまく組み合わることで、別の惣菜や商品を買い足すきっかけにもなります。

新しい食べ方を提案すると、単純に価格などをアピールされるよりも「食べたい」と思ってもらいやすい上、他店にはないユニークさの演出にもつながります。

イベントへの積極性で季節メニューの売上アップ

これは前述のターゲット層やそのターゲットのメリットを考えることにもつながるのですが、季節のイベントを重視するかどうかでも売上に差は出てきます。

たとえば、あなたの惣菜売場のターゲット層が子供のいる家庭の主婦や主夫だとします。冬至の時期は学校の冬休みに差し掛かる頃であり、受験の追い込み期間でもあります。

冬至は「一陽来復」とも言い、運気が上昇傾向となる日でもあり、「ん」の付く食べ物を食べて運を盛る「運盛り」の習慣があります。なんきんとも呼ぶかぼちゃを冬至の日に食べるのは、その運盛りの意味合いを持つとともに、風邪予防の栄養をつけるためでもあります。

家族の風邪予防に、受験生の運盛りにと、かぼちゃや「ん」のつく食材を使った惣菜をメインに陳列して、冬至にまつわるPOPを付けてみるとどうでしょうか。
冬至にかぼちゃを食べる理由をPOPで知った主婦、主夫のお客様や、忙しくて冬至の時期をすっかり忘れていたお客様も、陳列された商品を思わず手にとってみたくなります。

仮に目当ての惣菜が売り切れていたとしても、簡単なものなら材料を買って自宅で作ろうと思うきっかけにもなります。スーパーであれば、野菜売場などの売上アップにも貢献できるという寸法です。

惣菜売場単独の企画である場合は、メニュー数を増やしたり使用するかぼちゃの品種にこだわったり、ひと工夫で十分な差別化が可能です。和食ばかりではなく、若者や子供ウケのよい洋食系の惣菜も陳列すると手に取ってもらいやすくなります。

このように、イベントは売上をアップさせる絶好のチャンスです。クリスマスやお正月、お盆などはある程度メニューが決まってしまうために他店と差をつけにくいですが、それ以外の季節行事に力を注ぐことで差別化ができます。

ここに力を入れられるか、どれだけユニークな企画ができるかで惣菜売場の売上は変わってきます。

時代に合わせた陳列方式で独身層にもアプローチ

惣菜の利点は、販売する量を多様にできるところです。しかも近年では、大型スーパーなどでも個人個人でほしい量だけを購入できるセルフサービスの量り売りも普及しています。

以前は、量り売りは衛生的な懸念がありましたが、専用カバーつきの仕器を導入するなど対策方法も確立したことで、マイナス面よりもプラスの面が目立ってきました。

独身層や高齢者など、少量で良いお客様にとっては量り売りの方が購入しやすいものです。見当違いな量のパック詰めで売れ残りを出すよりも、お客様ごとに必要な量を購入していただくという方法を検討してみるのはいかがでしょうか。
もちろん、お店や売場のターゲット層に当てはまるかどうかも考慮することは忘れずに。

衛生面が気になるから、やはりパック詰めをメインで、となる場合は、詰め方を変えてみる手もあります。季節を感じさせる装飾を、果物や木などで演出するのも良いでしょう。

季節に関連するPOPと合わせると、互いへの相乗効果でさらに季節感のある、見栄えの良い売場になります。

惣菜は新鮮さが重要です。商品自体の鮮度は当然ながら、季節ごとに売場の演出も変えることで目新しさ、活気をお客様に感じていただけるようにしましょう。


まとめ

惣菜は売り手の力量を見せるには最適な売場です。旬モノ季節モノで目新しさを出しやすい野菜や魚だけではなく、惣菜売場でもきちんと季節を感じてもらえるようにしましょう。

小さなイベントもこまごまと拾ってPOPや陳列に取り入れることで、親しみやすく、足を止めてじっくり見てみたくなる売場づくりができます。
基本である「誰に買ってもらいたいか」と「誰にどのようなメリットがあるか」に加え、付加価値を感じさせる一工夫で思わず買いたくなる惣菜売場に仕上がります。

2017/02/23時点