惣菜売り場の売上アップの合言葉『AIDMA』

よりお惣菜の売上を上げる工夫をしたい、売りたい商品をお客様が手に取っていただけないという悩みをかかえる企画担当者の方へ。マーケティング用語である『AIDMA』を合言葉に、惣菜のパッケージにスポットを当てて、改善策を考えてみましょう。

「AIDMA(アイドマ)」の法則とは?そこから何が見えてくる?

「AIDMA(アイドマ)」とは、1920年代にアメリカ合衆国のサミュエル・ローランド・ホールが提唱した消費者心理のプロセスを示した略語です。
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)
これらの頭文字をとって「AIDMAの法則」とし、消費行動における商品認知から購入に至るまでの心理プロセスを段階的に示しています。
この基本モデルにあてはまる段階を明確にすることで、マーケティング手法など有効な戦略の選択や、効果の分析に利用することができます。
AIDMAの法則において、自社商品が抱える問題はどの段階にあるのか、お客様の心理プロセスはどの段階にあるかをとらえましょう。AIDMAの法則にあてはめることで、状況に合わせてどう対応・改善していけばよいのかを具体的に検討していくことが可能となります。

売りたい商品をお客様の手に取っていただくためには?

売りたい商品をお客様に手に取っていただけない、という悩みはよく聞かれます。
このような悩みを解決するときに、AIDMAの法則を意識しながら、果たすべき戦略を明確にしてみましょう。

1.Attention(注意) 商品を知らない段階

→ 認知向上を目指す:広告訴求、売場・パッケージの工夫
・・・目を引く工夫

2.Interest(関心) 知っているが興味がない段階

→ 有益な情報を提供する:売場・フードパッケージの工夫
・・・歳時の喚起・健康訴求・流行の提示

3.Desire(欲求) 興味はあるが欲しいと思っていない段階

→ ニーズを喚起する:売場・フードパッケージの工夫
・・・商品のメリットを訴求

4.Memory(記憶) 欲しいと思っていたことを忘れている段階

→ 動機を思い起こさせる:売場・フードパッケージの工夫
・・・心に響かせる工夫

5.Action(行動) 動機はあるが買う機会がない段階

→ 購買しやすい環境を提供する:売場の整備・顧客ニーズに合わせた品揃え
・・・お客様の手間を最小限におさえた購入環境を提供する

このように、ある商品があると仮定すると、各段階で選択できる手段として、大きくは、広告・売場・品揃え・パッケージが挙げられます。その中でも、パッケージの持つ重要性は大きいと考えられます。商品の魅力を最大限に生かしたり、売場全体のイメージをがらりと変えたりする力を持っているのがパッケージなのです。

フードパッケージで商品の魅力を訴求するには?

フードパッケージは単なる容器ではなく、商品の一部であると同時に売場の一部でもあり、さらにPOPであるとの捉え方もできます。しかも、AIDMAの法則の各プロセスに合わせたパッケージの選択にも方向性があることを知っておくと、今までと違った戦略を講じる可能性が生まれます。

Attention(注意) 目を引く工夫:色・柄の工夫

まずは商品の存在を知っていただくためには、お客様に惣菜売場で足をとめていただく必要があります。売場を美しく見せることはAttentionにつながります。
例えば、パッケージを含めた色や形状を統一することで、美しく整然とした売場が実現されます。ブランドイメージを持たせたラベルは、小さなパーツではありますが、貼るだけでも統一感を出すことができます。
また、色の持つイメージを利用することもときには必要となります。食欲を増進させる暖色系、ひんやりとしたイメージを連想させる寒色系、リラックス効果など心理に訴えかける中間色、商品の色を際立たせる効果のある無彩色などをうまく使い、売場を構成していきましょう。全体が透明のパッケージは、照明をうまく反射して、売場全体を明るく見せる効果を持ちます。

Interest(関心) 歳時の喚起・健康訴求・流行の提示:歳時に合わせたパッケージ、ラベルや帯で有用な情報を端的に提供

惣菜売場ではどんなメリットがあるのかを訴求します。POPなどで歳時や健康訴求など、お客様の関心を引くような話題を提供して売場への関心をつなぎます。この売場にくると、有用な情報が手に入る、という印象を持っていただきましょう。
例えば、年末年始には、おせち料理をイメージさせる重箱型のパッケージに変えるだけで、通常の煮物からおせちの煮しめへとイメージチェンジすることができます。お客様が求める商品を見つけられるという安心感を満たすことができます。
また、ラベルや帯に文字情報でキャッチコピーを盛り込んでもいいでしょう。ここで注意したいのが、情報をつめこみすぎないこと。文字が読みにくくなる上、商品が隠れてしまいます。

Desire(欲求) 商品のメリットを訴求:商品のイメージに合わせたパッケージ、ラベル・帯の文字情報で商品特徴をアピール

商品に対してある程度関心を集めることができている段階であるならば、商品のメリットをあますことなく伝えるようにします。どんな商品なのか、商品に対してどんなイメージを持っていただきたいのかを狙ってパッケージをデザイン・選択します。
タマゴを使った商品では、タマゴの黄色と相性の良いグリーンや赤などを取り入れると、明るさや爽やかさなどのイメージをまとわせることができます。
高価格帯の商品であれば、高級感を連想させる黒や金・赤の組み合わせや、木の素材のパッケージも、お客様の高級品に対するニーズにあてはまる商品として認知されやすくなります。
また、クラフト素材を使うと、おしゃれさやオーガニック感を演出することができます。
材料や製法に対するこだわり、調味料の種類や栄養訴求などの文字情報はラベルや帯に盛りこむようにしましょう。

Memory(記憶) 心に響かせる:五感に訴えるパッケージ

お客様の記憶にある動機を引き出すには、五感に訴える手段が最も有効といえます。
暑い夏には、涼しげで身体を冷やしてくれるような色合いのパッケージが心に響くことは間違いありません。逆に、寒い日が続くときには、温かさをイメージした暖色系のパッケージが、お客様の心を打つでしょう。
手に取った時に温かいもの冷たいものの温度が伝わりやすい素材を使うことも、五感に訴える効果が高いといえます。

Action(行動) お客様の手間を最小限におさえた購入環境を提供する:手に取りやすいパッケージ、中身が見やすいパッケージ

最終段階として、買い物かごに入れていただきやすくするためには、取りやすい形状であるということが非常に重要です。ふたが開きやすかったり、中身がひっくりかえりやすかったりすると、かごに入れる前に辞めてしまうケースも多々あるからです。複数購買するような商品であれば、買い物かごの中で積み上げやすい形状であることもお客様のストレスを減らすことができるでしょう。コロッケや天ぷらの詰め合わせを、パックではなくあえてスタンド型の袋にするのも、手に取りやすい状況を作り出す有効な手段であるといえます。
また、商品はどんなものなのか、中身の量がどのくらいなのか、など、商品の状態がお客様に確認していただきやすいということも基本的なことです。


まとめ

お惣菜売場の売り上げを上げるためには、AIDMAの法則を活用し、お客様の心理プロセスの段階に合わせたパッケージをデザイン・選択することの重要性をご紹介してきました。売りたい商品をお客様に手に取っていただけない理由の一つは、お客様の心理状態とずれたアクションではありませんでしたか?今一度お客様の心理段階を明確にしてみましょう。本当の課題が浮かび上がると共に、次の戦略が見えてくるかと思われます。

2017/05/29時点