ホテルのレストランスタッフの育成ポイント

ホテルを利用するお客様が求めているのは、日々の生活から離れた非日常感と言われています。この非日常感を演出するために豪華な内装や料理も重要ですが、接客にご満足いただけなければ台無しになってしまいます。質の高い接客をするために、この問題にどう対応するのが重要か、ホテルのレストランスタッフの育成ポイントを整理しました。

マインドと仕組み作り

まず、レストランスタッフひとりひとりがプロ意識を持つことが大切ではないでしょうか。ただ言われた通りに料理を運び、マニュアルに書かれた説明を口頭でお客様に伝えるだけでは、料理や使われた食材の魅力までは伝わりにくいでしょう。
対策としては、スタッフ自身が提供される料理についてきちんと学んでおくと、よりリアリティや厚みのある解説ができるようになります。
とはいえ、いきなり「うちで提供している料理について各々勉強しておくように」と言われても、スタッフは混乱してしまうでしょう。さらに、手元にある資料はやはりメニュー表やマニュアル、レシピなどにとどまるため、結局は勉強する前と大差ない接客になりそうです。

実は、このような悩みを改善したとある外食企業が存在します。居酒屋チェーンを展開する企業なのですが、そこには新しく入社したスタッフは正社員もアルバイトも食材の生産地へ研修を受けに行く制度があるそうです。
現地で実際に生産者と触れ合い、作り手しか知らない話を聞いたり、収穫や漁体験をしたりすることで、マニュアルにはない自分自身の感想を交えた知識を得られるという研修です。
体験したことで生産地や食材に親しみを感じ、食材やそれらを使った料理についてさらに魅力を知り、お客様へも伝えやすくなるのでしょう。

お客様の中には、もっと料理について説明してほしい、食材にこだわりがあるなら、詳しく知りたいとスタッフに自ら質問される方もいらっしゃいます。
そのような場合もスタッフそれぞれが深い知識や自身の感想を持っていることで、血の通った説明ができるようになるでしょう。

もちろん、スタッフ全員が生産地へ研修に行くのは、どの企業やホテルもできるわけではありません。しかし厨房スタッフの調理を間近で見たり、教わりながら自分自身で作ってみたりといった自社内でできることも見つかるはずです。

実体験からくる情報のリアルさ、厚みで、スタッフが心から働くレストランや提供する料理に誇りを持てるマインド教育も、ぜひ検討してみてください。

サービスと調理の連携

料理の魅力について知っておくことに加え、ホール係とキッチン係がきちんと連携をとれていなければ、やはりレストランの魅力は半減してしまうでしょう。
提供する側のスタッフ教育はもちろん、調理を担当するキッチンスタッフの教育も重要ですし、相互の連携も重視したいところです。

たとえば、キッチンとホールの両方をスタッフに経験させるお店も珍しくないようです。どちらか一方の業務しか経験していなければ、気付けなかったであろう互いの苦労や努力を、経験してみることで知り、相手を尊重しようと思えるようになるメリットがあります。経験を踏まえ、前向きな改善点を考えるきっかけにもなるでしょう。

導入しやすいものとしては、誕生日のお客様、もしくはそのお祝いをしているお客様がいることにホールが気づいた場合、キッチンに共有します。そしてお出しする料理に“Happy Birthday”と書かれたピックを添える、お皿にメッセージを書く、といったことです。

また、料理をお待たせしてしまっているお客様にお水を補充しながら話相手になったり、ホールで準備できるミックスナッツのようなちょっとしたおつまみを出すといったことも、両方の経験があれば気づくことができることでしょう。

お客様に楽しい時間を過ごしていただくためにできることを自発的に考え、良質のサービスを生み出すことができれば、ホール係とキッチン係の信頼が強くなり、結果、相互理解と相手を尊敬できる環境や仕組みができ上がるのです。

毎日のこういったやりとりから積み上げられた互いへの信頼が、よりスムーズであたたかみのある連携を生み、レストランの雰囲気自体も魅力的になっていくことでしょう。

改善内容の的確さは問題の本質を知ることから

しかし、残念ながらどんなに素晴らしい料理を作り、素敵な提供を行っても、トラブルが絶対に起こらないとは言い切れません。
たとえばどんなお店でも起こり得るのが、料理の不具合です。サラダに虫がついていたり、料理に髪の毛が混入していたりといった問題は、どんなに気を付けていても起こる可能性はあるでしょう。
また、近年では外国人のお客様の増加により、宗教や国の事情で食べられない食材も避ける必要が多くなってきました。

そのような場合も「何にどんなものが入っていたのか」「何故混入したのか」「何を召し上がっていただけないのか」を把握し、対策を練っていきましょう。

たとえばサラダの場合は虫が混入しやすい葉物はしっかりと洗うのが大切ですが、それだけではニュアンスとなり、伝わりません。マニュアル化できる部分はマニュアルで明確化すると、作業者ごとの差異が生じなくなります。

豆や雑穀類、フライドオニオンやベーコンなどのトッピング類は業務用の加工食品の使用をおすすめします。
時間の短縮やバリエーションを増やす効果も期待できる上、手作業ですべて用意するよりも混入物のリスクをかなり減らすことができるでしょう。
外国人のお客様にも、豊富な業務用食材を利用すれば柔軟に対応できるのではないでしょうか。

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問題の本質を知り、何をどう改善すれば良いか、どんな改善策や役立つアイテムがあるかを見極めることで、より良いお店づくりにつながるでしょう。


まとめ

ホテルのレストランは素晴らしい料理とスマートな接客が求められますが、「また来たい」と思っていただくには、さらに一歩進んだお店作りを心がけたいものです。
キッチン係とホール係が互いを信頼し合い、連携が取れているのはもちろん、どんなトラブルやお客様のご要望にも真摯に向き合える姿勢も重要でしょう。

誠実で、しかも柔軟な対応もできる雰囲気の良いレストランは、国内外問わず多くのお客様に愛されることでしょう。

2017/05/29時点