お金をかけずに飲食店の回転率と集客力を上げる接客術
店を選ぶ基準は時間と接客とメニュー
お客様は何を基準に店を選んでいるのか、それをまず考えましょう。日本政策金融公庫による「外食に関する消費者意識と飲食店の経営実態調査」では、飲食店を選ぶ際の重視点で最も多かったことに「入店時に時間がかからないこと」が挙げられました。それ以外にも「料理が出てくるまでに時間がかからないこと」など、時間に関することを重視していると、65%以上の人が回答しています。
時間以外には、低価格、スタッフの身だしなみや明るさ、接客態度、メニューが豊富であることが入ります。これらのことは大規模な設備投資を行わなくても実践できるものではないでしょうか。
また、入店時、料理提供時に待ち時間を減らすことができれば、お客様の滞在時間も減らすことに繋がります。これは、回転率を上げることにもつながります。
タイミングを計った料理出しで間を空けない工夫を
入店時の時間について工夫を凝らしている居酒屋があります。こちらの居酒屋の特徴はお通しです。お通しというと調理法も比較的簡単でスピーディーに提供できるものをイメージする人も多いのですが、こちらの居酒屋ではお通しに刺身の盛り合わせを出しているのです。インパクトは大きくお客様を驚かせることができるでしょう。豪華なしっかりとしたお通しによる効果は店に対する印象を良くするだけではありません。オーダーをした料理が出てくるまで刺身を食べることになるので、料理が出てくるまでに時間がかかる、という感覚をお客様に与えてしまう心配がなくなります。
また、こちらの居酒屋ではお客様の入店後、店主自らメニューの説明を行っています。入店してからすぐ店主からメニュー説明があるといったサービスは、店が気を配っている印象を与え、間が空いているという感覚をお客様に与えません。さらに、刺身の盛り合わせといった、お通しとしては提供に時間がかかるものでも、店主が説明を行っている間に準備することができます。
お通しやメニューを工夫してみる
入店してからメニューを聞きに来ない、水が来ない、などの不満は店への印象を悪くしてしまいます。提供時間の遅さ、間の長さはリピート客を逃す理由として大きいものです。
一方、お客様が着席後2分以内に何かを口にした場合、客単価が10%上がるという説があります。飲み物でも、お通しでも、すぐに何かを提供することで、お腹が空いた状態で訪れたお客様に安心していただくことができる、ということです。
また、急いでいるお客様のために、メニューの中に「スピードメニュー」の欄を作ることもおすすめです。スピードメニューは作り置きできるメニューであることがポイントですよね。常温や冷たいメニューとして、盛り付けるだけで提供することができるものを準備しておきましょう。業務用食品を利用して、提供時間を短縮することも一つの手段です。盛り付けるだけ、冷蔵庫から出すだけ、温めるだけ、といったメニューであれば、キッチンの負担になりにくく、オーダー後すぐに提供することができます。
ただしお通し、スピードメニューともに常連のお客様に飽きられてしまわないように、定期的な入れ替えが必要です。例えば、季節の食材にドレッシング、ディップをかけただけであっても、走りの食材なら新鮮なイメージになります。ドレッシングやジュレは業務用食品に多くの種類があるので、それを変えるだけでも印象を変えることができるでしょう。ぜひ試してみて下さい。
さらに、カウンターのあるお店なら、すでに完成したメニューを綺麗なお皿に盛りつけて並べておくのも一つの方法です。ずらりと並んだおかずは見栄えが良く、視覚にも訴えかけるので、オーダーを促進させることができるでしょう。
客との接点を増やし意識していることを表面化する
入店したお客様が居心地悪くなる瞬間がないよう、スタッフは全力を注ぎましょう。まずは基本的なことが重要です。料理を提供する際はおすすめの食べ方なども含め説明する、ドリンクがなくなっていたら声を掛ける、といったことから始めましょう。接点が多くなることでスタッフと客との会話も弾みやすくなります。最後に店を出る時には、忙しくてもエントランスまでお見送りしましょう。お客様は楽しい気持ちのまま帰宅することができるでしょう。
スタッフによっては接客が苦手な人もいるかもしれません。そのような人には、別のスタッフにお客様となってもらい、ロールプレイングで練習をさせましょう。リピーターを増やすためにも、お客様の名前を覚えたり、明るい雰囲気を作ったりすることは大切です。
まとめ
飲食店において料理の味向上は大事なことですが、提供時間の短縮やスタッフの接客力向上も非常に大切であることは昔から言われています。飲食店に限ったことではありませんが、店の評価は総合的なものです。
お客様からの評価を総合的に上げ、集客力を上げていくためには、お通しを含むメニューの構成確認、接客方法の見直し、練習など、身近なことから取り組んでいくことが結局は近道になるのではないでしょうか。
2017/06/29時点