飲食店が「ターゲット」を絞ることで集客力があがるワケ

飲食店において、売りたい商品と売れる商品が一致するということは、とても理想的なことでしょう。しかし、商売である以上、理想ばかりを追いかけるのではなく、確実に売り上げを伸ばしていくことも大切です。

自店の本当の看板メニューは何なのか。それを選んでくれるお客様はどんな人なのか。ターゲットを絞り、集客に繋げていく方法を考えてみたいと思います。

売るべき商品を明確に!売るべき相手も明確に!効果的にターゲットを絞り込む方法

ターゲットを絞るとひとことで言っても、具体的にどこから手を付けていいのか頭を悩ませます。

ではまず、自店の看板メニューは何なのか考えてみましょう。例えばラーメン屋ならラーメン。居酒屋ならお酒とおつまみ。もう少し掘り下げて、タイ料理屋で辛いものが売りのお店なのか、気軽なイタリアンでパスタが自慢のお店なのかなど、自店が何のお店なのかをしっかりと見極めることが大切です。

次に、お店の商圏にどのような客層が多いのかリサーチしてみましょう。具体的な方法として、自店以外の飲食店に、お客様として来店してみるというやり方があります。注意点としては、自店と同じ業態だけではなく、様々なタイプの飲食店を選ぶことがポイントです。何件か回るうちに傾向が見えてきます。どのようなお客様が潜在的に潜んでいるかを知ることで、自店の看板メニューのアプローチもおのずと決まってきます。

一例ですが、同じ業態でもサラリーマンの多いエリアと、学生の多いエリアでは価格帯や商品のラインナップなどに違いが生まれます。居酒屋などは、オフィス街の駅前立地では一人客のちょい飲みニーズに対応したセットメニュー。学生街では飲み放題や、低価格での宴会コースなど。ラーメン屋を例にみても、あっさり塩ラーメンなのか、こってり豚骨なのか、などです。

商圏の客層を計るには、他にも様々な視点があります。地域の男女比や年齢層、所得の多いエリアなのか、ファミリー層は多いのか。このように、多方面から消費者の傾向を見て、自店のメニューと商圏の客層とマッチするポイントを見つけましょう。それがターゲットを絞るということになり、日々の営業で力を入れるべきポイントがわかり、集客と利益に繋がっていきます。

更に、時間帯でリサーチすることも忘れてはなりません。仮にオフィス街が近いからといって安易にランチの安いメニューばかりに注力してしまうと、ディナータイムで他店にお客様が流れてしまう危険が考えられます。ランチタイムはこういった客層を、ディナータイムはこんなタイプの客層を、と時間帯別で想定してみてください。

具体的で理想的な消費者像の設定「ペルソナ」で販売戦略を練る

次に、ターゲットとなる「明確な消費者像」を設定する具体的なやり方、「ペルソナ」戦略についてご紹介します。

ペルソナとは、本来は古典演劇で役者がかぶった「仮面」のことを指す言葉です。転じて、マーケティングにおけるペルソナとは、「提供する製品・サービスにとって、もっとも重要で象徴的なユーザーモデル」という意味で使われます。そんなペルソナを利用したターゲットの絞り込み戦略について、少し考えてみましょう。

まず、氏名や年齢、性別、居住地、果ては職業や勤務先、年収や家族構成など具体的な部分まで、基本データを設定します。その上で、生まれてから現在までの生い立ち、身体的・性格的特徴、人生の目標やライフスタイル、趣味嗜好などの人間性も設定しましょう。必要であれば、更に、イメージを明確にするために似顔絵もしくは顔写真を用意する場合もあります。

このように、あたかも実在するかのようなリアルな人物像を、看板メニューを選んでくれるもっとも象徴的なモデル、ペルソナとして設定します。

そして、このペルソナを常にイメージしましょう。その人物がどのように行動し、どのように商品を選ぶかを、細かく想定し販売戦略を練ることが大切です。このように、明確な消費者像を設定し、ターゲットの絞り込みに活かす方法をペルソナ戦略と呼びます。飲食店でも、売るべきお客様を明確に設定し、一貫した商品イメージやメッセージを投げかけることで、集客に繋げていきましょう。

ペルソナを決める際も、時間帯別で異なる人物像を設定すると良いです。たとえばオフィス街で、近隣の店はラーメンや丼もの系の店が多く、ランチタイムに男性客が多いという場合。

女性はどこでランチを食べているか観察したところ、コンビニやテイクアウトで買って公園やオフィスで食べていることが分かりました。このような場所では、あえて同じような男性客に人気のお店を作るより、公園などにいる女性を取り込める店を作ろうと考える経営者の方も少なくないのではないでしょうか。

となれば、ランチタイムのために想定するのは公園でランチを済ませていた女性たちに近いペルソナです。そしてラーメンや丼ものが多い地域なら、夜はそれらを飲み会の締めにしたい男性客も狙えそうです。夜はお酒好きな男性のペルソナを想定してみましょう。

昼は女性向けにおしゃれなランチを、夜はラーメン屋などに行く前に飲んで行きたい男性向けのお酒がすすむメニューを、と考えた時。これらの性別とタイプ別のペルソナがお店の雰囲気づくりやメニュー開発に役立つのではないでしょうか。

ペルソナを設定する際は、このようにお店づくりと絡めて考えるようにしたいものです。こういうお客様が来そうだな、と考えるのではなく、こういう人がお客様になってくれるのは、どういう店構えやメニューが決め手になるだろう、と考えると良いかもしれません。


まとめ

飲食店側がターゲットを絞るということは、絞り込まれたお客様側から見れば、自分の好みや環境にハマるお店ということになります。そうした安心感が満足度に変わり、満足度のアップは、集客のアップにつながるはずです。

広い層のお客様のニーズを取りこぼさないように、何でもある、誰にでも好まれるお店を目指すという気持ちはよくわかります。しかし、今の時代は「何でもあるお店は、何にもないお店」だと思われるかもしれません。狙った相手に向けて効果的なアピールをするためにも、しっかりとターゲットを絞り込んでいきましょう。

2017/09/28時点