飲食店の顧客満足度と客単価ともにアップを図る
プレミアム戦略とは
冬の季節に獲得したお客様を継続客に変える
忘年会や新年会などは企業や団体などのパブリックな関係、家族や友人などプライベートな関係などさまざまなつながりの中で行われます。そのため、冬の時期は飲食店が予約で埋まり、これまで訪問したことがない飲食店を利用する機会が増えます。
飲食店にとっては売上を増やすチャンスになりますが、一過性のものにするのではなく継続的に来店してもらえるお客様を作るチャンスでもあるのです。そのためには忘年会や新年会で来店してもらった際に満足してもらうことが大事になります。食事やお店の雰囲気に満足してもらえれば、以降の来店につながり、冬の時期以外の売上増加にもつなげられるのです。
プレミアム感を出すことで満足度を高める
新規来店客を満足させるためにはさまざまな取り組みが考えられますが、それらの取り組みにプレミアム感を加えていくことが重要になってきます。それでは、どのような形でプレミアム感を加えれば良いのでしょうか?
最初に考えられるのが既存の売れ筋商品とは別に価格が高い特別メニューを考案することが挙げられます。忘年会や新年会向けの特別メニューを開発する飲食店も多くみられるように、冬は新メニュー開発が多い時期になります。その新メニュー開発時に冬ならではの高級食材を取り入れる方法がまず考えられるでしょう。蟹や牡蠣などの食材を利用した料理をメニューに加えることで価格を上げる方法は多くの飲食店で採用されているようです。
しかし、それだけでは他の飲食店との差別化が難しいためそこに少し工夫を加えてプレミアム感を出すことで対応してみてはいかがでしょうか。海外の珍しい食材を利用してみる、利用する食材を産地直送や当日仕入れのものにするといったプレミアム感を付け足すことなども工夫のひとつとして挙げられるでしょう。
そのような工夫自体をお店のウリとしている飲食店も増えてきていますが、特別メニューとすることでプレミアム感につなげることもひとつの方法だと思います。
また、料理の盛り付け方に工夫を加えることもひとつの手段です。客数が増える時期に凝った盛り付け方をする時間を確保することは難しいと考える飲食店が多いと思います。しかし、来店したお客様にとってはそのようなお店側の事情は関係なく、料理自体を評価するのです。そのため、盛り付け方にも手間をかける必要があります。
「お皿の余白を作る盛り付けをする」「立体感を出す盛り付け方をする」「三角形を意識した盛り付けをする」ことだけでも意識すると手間をかけずにプレミアム感を出せます。立体感を出す盛り付け方をするには三角形を意識しながら盛り付けることが必要になりますし、そのような盛り付け方をするとお皿に余白も作りやすくなります。
時間に余裕がある時はそれに加えて料理の彩りを考えて盛り付けること、アクセントとなる飾りの食材を盛り付けるといった工夫を加えていくと更にプレミアム感を増すことができます。
料理を提供する時に工夫を加えることも満足度を高めることができます。料理によっては客席で最後の仕上げをしてみる、お客様が最後の味付けを自分の好みに合わせてできるような選択肢を与えるといったことが例として挙げられます。
客席で最後の仕上げをするメニューを特別メニューとして用意することで、忘年会や新年会で盛り上がっているお客様にその場で盛り上がれる話題を与えることもできます。また、お客様と従業員が話をする機会を設けることもお店の印象を残す機会となるでしょう。
多人数で開催されることが多い忘年会や新年会では参加者それぞれに好みの味があるので、味付けを自分好みで変えられることがお客様の満足度を高めることにつながります。ドレッシングやソースなどを複数用意することでそれぞれのお皿で味付けできるようにするといった方法が考えられます。
このように、初めて来店するお客様が多いからこそプレミアム感を与えて最初の印象を良くすることが大事になりますし、客単価を上げて行くことも可能になるのです。
付け焼き刃ではなく継続できる仕掛けが必要
プレミアム感を出すことで満足度を高めて客単価を上げていくことは重要になりますが、一時的な取り組みにとどめてしまっていては意味がありません。客単価を上げることだけを目的として、来客数が増える時期だけ実施すると逆に評価を落としてしまう可能性もあります。
提供する料理も作り慣れていないことで品質が不安定になってしまう恐れもありますし、普段から盛り付けや料理の提供方法を実践していなければスムーズな提供は難しいでしょう。また、社員に加えてアルバイトやパートなどさまざまな立場の人が調理や給仕を行う飲食店が多いため手が込みすぎた取り組みでは運用が難しいのも問題です。客単価を上げるための取り組みは戦略を持って実施していかなければ逆に評判を下げてしまう可能性があるので注意しなければなりません。
そのため、プレミアム感を与える戦略は長期にわたって考える必要がありますし、作業する従業員の多くが実践できるような取り組みから始めていく必要があるのです。
その対策のひとつとして、既存のメニューにプレミアム感を加える新メニューの開発から始めるという方法が考えられます。お店で普段から提供している料理の調理は成熟度が高く、品質が安定しています。それら既存メニューで味の品質を維持しつつ、一味加えることや盛り付け方を工夫することでプレミアム感を出すのです。
一味加えることについては、最近業務用にさまざまな味付けが可能な調味料やドレッシングが提供されており、それらを上手に利用することで実現していくのが良いと思います。
メイン料理を一般的な味付けにすることでお店のウリを消してしまっては本末転倒なので、ベースの味付けと合わせて独自の味付けに変えていく研究が求められるでしょう。しかし、季節やコースメニューなどに合わせて味付けを手軽に変えることが可能かつ同様の品質を維持できる点は、飲食店にとってはプレミアム感を出すのにとても役立ちます。
また、既存メニューの改良だけではなく、普段のメニューで利用している食材を活用した新メニュー開発にもつなげやすい点からも利用効果はあるのではないでしょうか。
まとめ
新規の来店客が増える時期に向けてお店の売上増加と既存客の増加につなげていくためにお店でできるプレミアム戦略を検討することが次年以降の売上にも影響してきます。すぐに取り組める内容もありますので、お店の状況や提供しているメニューなどを踏まえてできることから実践してみるのが良いのではないでしょうか。
なお、調味料やドレッシングを利用した料理についてキユーピーが発行する情報誌「The Spoon」で特集を組んでいます。メイン料理やサラダなどのサイドメニューにプレミアム感を出すためのドレッシングの使い方などの例が具体的に記載されています。お店に活用するための参考情報としてぜひご覧になって、工夫や盛り付けの参考にしてみてください。
2017/11/06時点