訪日外国人が好む日本のラーメンをホテルで提供

訪日外国人の増加により、宿泊する外国人の数が増えたホテルも多いのではないでしょうか。宿泊客の増加は喜ばしいことですが、食事に関しては日本食を求めて近辺のレストランに流れてしまいがちです。しかし、ホテル内で食事をしてもらうことで、売上の増加と満足度向上にもつなげたいところです。

「日本食」をホテルで提供する理由

訪日外国人が楽しみにしていることの1つが、日本食を食べることです。来日前から飲食店をインターネットなどで見つけてから来る人も増えています。しかし、外食する宿泊客が増えることはホテル側にとっては、収益増加の機会損失につながるので、ホテル内で食事をしてもらうための工夫を行っていく必要が出てきました。

宿泊客にホテル内で食事をしてもらうためには、すでに行われている工夫もあります。その手段として、訪日外国人が楽しみにしている日本食をホテルで提供する方法があります。寿司や天ぷら、懐石料理など日本を代表する日本食の提供は、ホテルで食事をとってもらうための工夫の1つでした。

現在でもこれら日本食は訪日外国人にとって来日目的であることが多く、ホテルでの食事を促す効果はあります。ここに近年、日本食の中でも注目を集め、人気が高まっているラーメンを加えてみるのはいかがでしょうか。

海外で人気の日本食は「ラーメン」

日本人で日本食をイメージした際にラーメンを想像する人は、それほど多くはないのではないでしょうか。しかし、2016年で97社(統計:日本貿易振興機構)のラーメン店が海外に出店していることからもわかるように、ラーメン人気は高まっています。そして、海外ではすでにラーメンは日本食として認識されていると言ってもいいでしょう。人気が高まってきたことで、ラーメンを食べることが来日目的となっている外国人の方も増えており、集客のために注目すべき料理となってきています。

それでは外国人の方にはどのようなラーメンが人気なのでしょうか。2013年にヤフージャパンが「世界ラーメン白書2013」で世界44カ国、676名にアンケートを集計したところ、半数以上がとんこつ味を好んでいるという結果になりました。とんこつ味のラーメンを提供するラーメン店が数多く海外に出店しており、ラーメン店によっては日本国内の店舗よりも海外店舗数の方が多いお店も出てきています。

とんこつ味の人気が高い要因はいくつか考えられますが、海外では比較的濃厚な味が好まれることから、とんこつ味の人気へつながっていると考えられます。また、とんこつ味自体が、海外では珍しい味付けであることが挙げられるでしょう。「世界ラーメン白書2013」のアンケートによると、とんこつ味に次いで味噌味の人気が高く、これも同様の理由かもしれません。海外においてとんこつ味や味噌味は似通った味の料理がなく、日本のラーメンが「日本の味」として定着しつつあるのではないでしょうか。とんこつスープのように長時間煮込んで味を引き出すといった料理手法は高級料理でしか行われないことも、興味を持たれる要因になっています。

しょうゆ味や鶏ガラスープなどのラーメン店も海外での出店が盛んになったことを受けて、ラーメン人気は更に高まりを見せています。

集客のポイントは「食べる場所」の工夫

ホテルでも外国人に人気が高いラーメンを提供することにより、外国人宿泊客がホテル内で食事をする回数を増やすことにつながることが期待できます。ただし、海外に出店するラーメン店が増えたり、トリップアドバイザーなどの旅行口コミサイトの発達があり、来日前にラーメン店を調べてから来る訪日外国人も増えています。そのため、ラーメンをメニューに加えるだけでは、集客戦略として不十分であり、一手間工夫を加える必要がある点に注意しましょう。

訪日外国人にとってラーメンは味を楽しむだけではなく、ラーメンを食べること自体への楽しみもあります。そのため、味のクオリティーはもちろんのこと、「日本でラーメンを食べる」という楽しみを味わってもらう環境を整えることが、ポイントとなります。効果が期待できる提供環境として、ラーメン店らしい雰囲気と周りが気にならないスペース確保が挙げられます。

ラーメン店が人気である理由の1つが、普段自分の国では経験ができないお店の雰囲気を味わえることにあります。お店ごとに味への拘りがあるように、お店の雰囲気にもそれぞれ個性が見られます。席の配置や置いてあるトッピングの種類、お店に飾られているインテリアなどもそれぞれのラーメン店で工夫されています。また、屋台ラーメンのように独自の提供形態もあり、外国人の方の興味を引きます。インスタ映えする提灯や看板を用意するのもいいでしょう。通常のラーメン店とは違い、ホテル内ということを考えると、一人用より家族や友人と食べられるようなレイアウトも考えなければいけません。

ラーメンを食べることと、お店の雰囲気を合わせて楽しみたい訪日外国人は、多く見られます。そのため、通常のレストラン内で提供するだけでは、日本でラーメンを食べる意義が薄れるため、利用にはつながらないかもしれません。特設スペースを設けてラーメン店や屋台などの雰囲気を味わえる環境を整える仕掛けが、ラーメンを提供するホテルとしての特色を生かし、実際に来店してもらえる要素となるのではないでしょうか。

また、海外では「すする」という行為はマナー違反だと教育されているケースが多く見られます。しかし、来日して本場のラーメンを楽しむため「すする」という行為に挑戦してみたい人もいらっしゃることでしょう。通常のレストランでは周りの目が気になる、あるいは周りの人たちが不快になる可能性があります。この点からしても、専用スペースを用意し、利用しやすい雰囲気づくりが大切になってきます。


まとめ

海外で日本食に対する関心や期待が高まっている中、ホテルがその期待に応えていくことが売上拡大やリピート客獲得に重要になっています。日本食として外国人の興味関心を捉えているラーメンをうまく利用して、満足度を高め、収益増につなげていきましょう。

2017/12/19時点