食形態の分類について

かむ力や飲み込む力が低下した方には「食べる機能に応じた食事」を提供することが必要とされます。
「食べる機能に応じた食事」を表す分類は多数存在し、各分類は相互関係を持っています。
ここでは、代表的な4つの分類の相互関係を表した対応表をご紹介します。
また、「学会分類2013」、「ユニバーサルデザインフード」につきましては、分類の詳細内容もご紹介しております。

各食形態分類の対応表

各食形態分類の対応

※各食形態分類の対応表については、学会分類2013との整合性や相互の対応が完全に一致するわけではありません

食形態の分類 「学会分類2013」・「ユニバーサルデザインフード」について

学会分類2013、ユニバーサルデザインフードについて、より詳しい内容はこちらよりご覧ください。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会より制定された分類で、正式名称は「日本摂食・嚥下リハビリデーション 嚥下調整食学会分類2013」。
国内の病院・施設・在宅医療および福祉関係者が共有して使用できることを目的として作られており、食事は5段階、とろみは3段階に分類されています。学会分類2013(食事)の特徴として、各段階の規定に物性測定値が表記されておらず、文章にて表記されていることがあげられます。

学会分類2013(食事)早見表

●コード0j

形態
  • ・均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したゼリー
  • ・離水が少なく、スライス状にすくうことが可能なもの
目的・特色
  • ・重度の症例に対する評価・訓練用
  • ・少量をすくってそのまま丸呑み可能
  • ・残留した場合にも吸引が容易
  • ・たんぱく質含有量が少ない
主食の例
必要な咀嚼能力 (若干の送り込み能力)

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●コード0t

形態
  • ・均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したとろみ水
    (原則的には、中間のとろみあるいは濃いとろみのどちらかが適している)
目的・特色
  • ・重度の症例に対する評価・訓練用
  • ・少量ずつ飲むことを想定
  • ・ゼリー丸呑みで誤嚥したりゼリーが口中で溶けてしまう場合
  • ・たんぱく質含有量が少ない
主食の例
必要な咀嚼能力 (若干の送り込み能力)

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●コード1j

形態
  • ・均質で、付着性・凝集性・かたさ・離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの
目的・特色
  • ・口腔外で既に適切な食塊状となっている(少量をすくってそのまま丸呑み可能)
  • ・送り込む際に多少意識して口蓋に舌を押しつける必要がある
  • ・0j に比し表面のざらつきあり
主食の例 おもゆゼリー、ミキサー粥のゼリーなど
必要な咀嚼能力 (若干の食塊保持と送り込み能力)

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●コード2-1

形態
  • ・ピューレ・ペースト・ミキサー食など、均質でなめらかで、べたつかず、まとまりやすいもの
  • ・スプーンですくって食べることが可能なもの
目的・特色
  • ・口腔内の簡単な操作で食塊状となるもの(咽頭では残留、誤嚥をしにくいように配慮したもの)
主食の例 粒がなく、付着性の低いペースト状のおもゆや粥
必要な咀嚼能力 (下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)

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●コード2-2

形態
  • ・ピューレ・ペースト・ミキサー食などで、べたつかず、まとまりやすいもので不均質なものも含む
  • ・スプーンですくって食べることが可能なもの
目的・特色
  • ・口腔内の簡単な操作で食塊状となるもの(咽頭では残留、誤嚥をしにくいように配慮したもの)
主食の例 やや不均質(粒がある)でもやわらかく、離水もなく付着性も低い粥類
必要な咀嚼能力 (下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)

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●コード3

形態
  • ・形はあるが、押しつぶしが容易、食塊形成や移送が容易、咽頭でばらけず嚥下しやすいように配慮されたもの
  • ・多量の離水がない
目的・特色
  • ・舌と口蓋間で押しつぶしが可能なもの。押しつぶしや送り込みの口腔操作を要し(あるいはそれらの機能を賦活し)、かつ誤嚥のリスク軽減に配慮がなされているもの
主食の例 離水に配慮した粥など
必要な咀嚼能力 舌と口蓋間の押しつぶし能力以上

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●コード4

形態
  • ・かたさ・ばらけやすさ・貼りつきやすさなどのないもの
  • ・箸やスプーンで切れるやわらかさ
目的・特色
  • ・誤嚥と窒息のリスクを配慮して素材と調理方法を選んだもの
  • ・歯がなくても対応可能だが、上下の歯槽提間で押しつぶすあるいはすりつぶすことが必要で舌と口蓋間で押しつぶすことは困難
主食の例 軟飯、全粥など
必要な咀嚼能力 上下の歯槽提間の押しつぶし能力以上

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※本表は必ず「嚥下調整食学会分類2013」の本文を併せてご確認ください。

学会分類2013(とろみ)早見表

●段階1:薄いとろみ

英語表記 Mildly thick
性状の説明
(飲んだとき)
  • ・「drink」するという表現が適切なとろみの程度
  • ・口に入れると口腔内に広がる液体の種類・味や温度によっては、とろみがついていることがあまり気にならない場合もある
  • ・飲み込む際に大きな力を要しない
  • ・ストローで容易に吸うことができる
性状の説明
(見たとき)
  • ・スプーンを傾けるとすっと流れ落ちる
  • ・フォークの歯の間から素早く流れ落ちる
  • ・カップを傾け、流れ出た後には、うっすらと跡が残る程度の付着
粘度(mPa・s) 50−150
LST値(mm) 36−43

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●段階2:中間のとろみ

英語表記 Moderately thick
性状の説明
(飲んだとき)
  • ・明らかにとろみがあることを感じ、かつ「drink」するという表現が適切なとろみの程度
  • ・口腔内での動態はゆっくりですぐには広がらない
  • ・舌の上でまとめやすい
  • ・ストローで吸うのは抵抗がある
性状の説明
(見たとき)
  • ・スプーンを傾けると、とろとろと流れる
  • ・フォークの歯の間からゆっくりと流れ落ちる
  • ・カップを傾け、流れ出た後には、全体にコーティングしたように付着
粘度(mPa・s) 150−300
LST値(mm) 32−36

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●段階3:濃いとろみ

英語表記 Extremely thick
性状の説明
(飲んだとき)
  • ・明らかにとろみが付いていて、まとまりがよい
  • ・送り込むのに力が必要
  • ・スプーンで「eat」するという表現が適切なとろみの程度
  • ・ストローで吸うことは困難
性状の説明
(見たとき)
  • ・スプーンを傾けても、形状がある程度保たれ、流れにくい
  • ・フォークの歯の間から流れ出ない
  • ・カップを傾けても流れ出ない(ゆっくりと塊となって落ちる)
粘度(mPa・s) 300−500
LST値(mm) 30−32

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  • 粘 度:
    コーンプレート型回転粘度計を用い、測定温度20℃、ずり速度50s−1における1分後の粘度測定結果
  • LST値:
    ラインスプレッドテスト用プラスチック測定板を用いて内径30mmの金属製リングに試料を20ml注入し、30秒後にリングを持ち上げ、30秒後に試料の広がり距離を6点測定し、その平均値をLST値とする

※本表は必ず「嚥下調整食学会分類2013」の本文を併せてご確認ください。