エシカル暮らしを発信する中村暁野さんが、A面だけでなくB面もさらけ出す理由

エシカル暮らしを​発信する​中村暁野さんが、​A面だけでなく​B面もさらけ出す理由

中村暁野さん第1回

サステナブルな食を展開するGREEN KEWPIEがお送りする「みんなにうれしいGREEN KEWPIEチャンネル」。今回のゲストは、家族をテーマに文章を書きながら、VoicyやInstagramなどを通してエシカルな暮らしについて発信されている中村暁野さんです。第1回は、暁野さんがエシカルな暮らしを始めたきっかけについてうかがいました。

※この記事はVoicyの対談の要約です。発言の意味を変えないように配慮して、一部省略・集約をしています。詳しくはVoicyの「 みんなにうれしいGREEN KEWPIEチャンネル 」をお聴きください。

中村暁野

中村暁野

なかむらあきの

文筆家・「家族と一年商店」店主

旦那さん、2人の娘さん、1人の息子さんの5人家族。2017年より東京から少し離れた里山に暮らす。1つの家族を1年間にわたって取材して、1冊丸ごと1家族を取り上げる雑誌『家族と一年誌 家族』を、自身の家族と共に2015年創刊。2021年には暮らしを変える・築くきっかけを生むための小さなお店「家族と一年商店」をオープンさせた。Voicyチャンネル「エシカル暮らしA面B面」では、等身大のエシカルな暮らしを発信する。

娘の​短冊の​お願い​事を​見て​始めた​エシカル暮らし

この日の収録は、神奈川県藤野にある暁野さんのご自宅で行わせてもらいました。元々は別荘だった中古住宅を自らリノベーションした素敵な内装や、リビングの大きな窓から見える相模湖の美しさに話を弾ませるお二人。0歳の娘さんを抱っこしながらお話しする暁野さんと共に、最初の話題は共通のご友人について。

前田: ご自宅があるのが神奈川県の藤野ですけれども、私も実はこのすぐ近くの、オーガニックでお花を栽培されているfour peas flowersさんと一緒に『discover slow flowers』というプロジェクトをしていまして。環境に負荷をかけずに栽培しているお花を知ってもらうプロジェクトなんですけど、(それもあって藤野に)よく来ているんですよ。

中村: 私も、有紀さんがお花のお仕事をされているので(four peas flowersの代表 新井)聡子さんのオーガニックフラワーをプレゼントしたいなと思っていたら、もう一緒にお仕事されていて、不思議なつながりにびっくりでした。私もfour peas flowersさんにはよくお世話になっております。

前田: お友達なんですよね。住んでいる人同士の距離が近いっていうのも、このエリアの魅力なんだなと思いました。

中村: みんな知り合いか友達みたいな、そんな町ですね。

リビングの大きな窓からは相模湖と色づいた木々が見渡せる

前田: そして、暁野さんのVoicy チャンネル「エシカル暮らしA面B面」も楽しく聴かせてもらっています。エシカルな暮らしっていうと、理想があってハードルが高いというイメージがあったんですけど、この「A面B面」ではいいこともそうじゃないこともお話しされているので、「あ、なんか私にもやれそうだな」って、距離がすごく縮まっていく感じがするんですよね。

中村: ありがとうございます。まさにそんな風に発信ができたらなと思って始めたチャンネルなので、そう言っていただけてありがたいです。

前田: 暁野さんはどうしてエシカルな暮らしを始められたんですか?

中村: 元々若い頃から環境問題には関心があって、自分のできることを小さくやっていこうとは思っていたんです。2010年に長女を産んで、この藤野に越してきて。藤野の暮らしに色々影響を受けて、またちょっとずつできることをやっていこうとは思っていたけど、思っているだけじゃなかなか実際には始めていけなかったんですよね。でも娘が8歳の時、七夕のちょっと前に、海洋生物がプラスチックゴミを食べて死んでしまった写真を見たんですよ。それを見た娘が、短冊に「プラスチックゴミを捨てる人がいなくなりますように」って書いていたんですよね。

前田: 七夕のお願い事がそういったことだったんですね。

中村: そうなんです。そのお願い事を見て、「いいこと書いたね」とか「本当にそうだよね」とか言って、またいつもの暮らしに戻ってしまうんじゃいけないなと。私もずっと何かしなくちゃと思っていたのに、娘を産んでから今まで何か変われたのかなって思ったら、変われていないなと思って。この言葉を嘘にしないためにも、まず自分から本当に変わっていこうって、その時完全にスイッチが入ったという感じですね。

前田: お嬢様のお願い事がきっかけになって、行動に移されていったんですね。

中村: 何かしなくちゃとか、できることをしようじゃなくて、「じゃあ本当にできる小さなことって、どこから始められるんだろう?」という風に思いましたね。

黒板には息子の樹根(じゅね)くんによる「NO PLASTICS」の文字と魚のイラストが

前田: 当時、具体的にはどんなことから始められたんですか?

中村: それが7年前とかだったと思うんですけど。最初は、ペットボトルって(買わないように)意識しているつもりだったけど、なんとなく気づいたら家にあったりとか、外出した時につい買っちゃったりしているけど、もうそれは絶対買わないって決めるところからスタートしました。そしてそれを、家族みんなでやってみようと。その時にあれダメ、これダメって言うんじゃなくて、楽しい方法としてどうやったら取り組んでいけるかなと思って、全員にマイボトルを用意して、そこに「じゃあ何を入れたい?」「飲み物は何を持っていきたい?」って、自由に好きなもの選ぼうみたいな。家族全員で前向きに取り組めるよう工夫をしながら、最初の最初はそこから始めました。

前田: マイボトルを持っていくのって、忙しい毎日だとちょっと手間になったりもするんですけど、それを楽しんでやろうっていう方向に切り替えていったのがすごく素敵ですね。

中村: ゲーム感覚というか、みんなで楽しんで協力し合ってやっていくことで、「ジュース買いたい時はどうしたらいいの?」みたいな子どもにとってマイナスになってしまいそうなこととか、「めんどくさいな〜」みたいな夫に対して、「楽しいでしょ?」って方向で始めるのが最初は肝心かなと思ったので、そんな風にしました。

前田: 他には、具体的にどんなことをされているんですか?

中村: そこから1年ぐらいで、キッチンのプラスチックの使い捨て製品、例えばラップやキッチンペーパーは全部なくしたりとか、スポンジも自然素材のものに替えたりとか、お風呂場で使うようなものもプラスチックフリーにどんどんしていってシャンプーは固形にするとか、歯ブラシも竹のものにするとかして。そうすると、替えていけるところをみんながどんどん見つけられるようになったんです。最初はそんなに乗り気じゃなかった夫も、「もっとこういう風に替えられるんじゃない?」って新しいエシカルなアイテムに替えてくれたりして、どんどんいろんなものが替わっていきました。

前田: 日々普通に暮らしていると、どうしてもプラスチック製品が増えていってしまうところもあるんですけど、それを意識して減らしていくのは初心者でも始められそうなことですよね。

中村: それは実はとっても簡単にできて、そういう意識が変わっていくと、じゃあプラスチックを減らすだけじゃなくて、何かを買う時に「これってどういう背景でできているんだろう?」とか、「環境や人権により配慮した製品があるんだな」とかどんどん視野も広がっていって、そこから本当にいろんな世界が広がっていきました。

キッチン用品は、ホタテの貝殻をアップサイクルしたマルチパウダーなど、環境に配慮したものや手作りのものばかり

前田: 暁野さんが「A面B面」として、いい方のA面だけじゃなく、B面も発信されるのにはどういった経緯があったんですか?

中村: エシカルな発信ってとっても正しくて素敵なことなんだけど、「とてもじゃないけどそんな余裕ないよ」って私自身思う時もありますし、完璧にできている人じゃないと口にしちゃいけないんじゃないかみたいな意識が私自身にもあったんですよね。「私なんて本当にまだまだだから、そんなことを語るには値しない」みたいに思っていたところがずっとあって。でも、完璧にできている人しか発信しちゃいけないんだったら、やっぱり世の中って変わっていきづらいじゃないですか。きっと完璧な人なんていないはずだし。なので、むしろB面を開いていくことで、もっと身近に、気軽に、日常の中でエシカルな話をしやすい社会になっていくための小さな何かを始めたくて、積極的にB面のことを話していくようになりました。

前田: まさに暁野さんのVoicyでの発信も、A面B面の両方があるからこそより親しみが湧いて、私もやってみようと思えるので、これからも聴いていきたいと思います!

中村暁野

完璧な人しか発信できないんじゃ世の中は変わらないなとB面も出すようになりました

前田有紀

暁野さんの発信はA面もB面も両方あるからこそ親しみが湧きます

プラントベースの​カンパーニュサンド

ゲストにGREEN KEWPIEを使った料理を食べていただく「みんなにうれしいGREEN KEWPIEレシピ」のコーナー。今回は、普段からプラントベースの食事を基本にされている暁野さんが、プラントベースのレシピを考案してくれました。

前田: 今回はなんとGREEN KEWPIEを使ったレシピを暁野さんが考えてくれました。ありがとうございます、すごくうれしいです!料理名をご紹介いただけますか?

中村: 『プラントベースのカンパーニュサンド』です。

前田: おいしそう〜。これはどういうメニューなんですか?

中村: 普段から私はプラントベースの食生活を意識しているんですけど、このカンパーニュサンドも全部プラントベースです。なのに、しっかりと卵風が入っているという、夢のサンドイッチになっております。

前田: 色合いも鮮やかで、とてもおいしそうですね。

中村: キャベツとにんじんはちょっと炒めて、「HOBOTAMA スクランブルエッグ風」と「植物生まれのマヨネーズタイプ」、マスタードをカンパーニュに挟んでいます。

前田: マスタードのつぶつぶが見えていますね。おいしそう。じゃあ一緒に食べましょう!いただきます。

中村: うん、もうこれ(HOBOTAMA)は本当に卵ですよね。

前田: パンもやわらかくておいしい。

中村: これは藤野の友達が焼いてくれたパンなんです。

前田: そうなんですね!こちらのカンパーニュサンドは「HOBOTAMA スクランブルエッグ風」と「植物生まれのマヨネーズタイプ」が入っているということで、パンのカリッとした部分と、中の具のまろやかでマイルドな感じがすごく合っていてとてもおいしいです。

カンパーニュサンドをいただいたのは暁野さん宅のウッドデッキにて

中村: このスクランブルエッグ風を初めて食べた時に、本当に卵っぽすぎてびっくりして!私、パンと卵を一緒に食べるのがすごく好きなので、ぜひこれはサンドイッチにしてみたいなと思って。「植物生まれのマヨネーズタイプ」もすごくマイルドで、子どもたちも普通のマヨネーズだと思って食べているぐらい。プラントベースだとは気づかないぐらいの味だなって思いました。

前田: 毎日の暮らしに取り入れやすいですよね。今回はお料理に合わせて、食器も暁野さんが選んでくださいました。とても素敵ですね。

中村: ありがとうございます。藤野には陶芸家さんがたくさんいらっしゃるんですけど、私の大好きな小泉敦信さんという藤野の陶芸家さんの器にのせさせていただきました。

前田: 我が家も鎌倉の山に家族で登ったりするので、その時にこのカンパーニュサンドを作って山の上で食べたいなと思いました。

中村: いいですね〜。

前田有紀

素朴なカンパーニュとまろやかな中の具がマッチしておいしい!

中村暁野

スクランブルエッグ風を初めて食べた時、卵っぽすぎてびっくりしました

同じ​方​向に​一緒に​進める​仲間が​できたことがうれしい

暁野さんの自宅のウッドデッキで、日差しを感じながらカンパーニュサンドを楽しむお二人。最後に、暁野さんが日々エシカルな暮らしを発信する中で感じるうれしさについてうかがいます。

前田: 最後にうかがいますが、暁野さんがエシカルな暮らしを発信する中で、どんなことがうれしいと感じますか。

中村: 同じ気持ちの方と出会えたことです。自分が発信する前は、やっぱり1人でやっているような感じがあったんですけど、Voicyのチャンネルなどで発信をしたことで、同じ方向を向ける人にどんどん出会うことができて、仲間ができたというか、一緒に目標に向かえると思えたことですね。そんな気持ちがどんどん発展していって、「家族と一年商店」も(2024年)12月に藤野の駅前にリアルショップをオープンすることができて、これからますますいろんな人とつながれる場所としてやっていけたらいいなと思っています。

前田: 新しくつながっていけるのが楽しみですね。今回、暁野さんの「完璧を目指さなくていい」というお話を聞いて、エシカルなアイテムやプラントベースの食事って取り入れやすいなと感じました。完璧であろうとすると、自分とは関係ないのかなって距離を取ってしまう人もいると思うんですけど、暮らしにどんどん取り入れて、地球にいいアクションを起こしていきたいなと改めて感じました。

2024年12月、藤野から徒歩1分の場所にオープンした「家族と一年商店」のリアルショップ(写真撮影/山本恭平)
中村暁野

発信することで同じ方向を向ける人にどんどん出会うことができました

前田有紀

「完璧を目指さなくていい」という言葉に勇気づけられます

みんなにうれしい
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「GREEN KEWPIE」が​お届けする、
みんなに​うれしい​GREEN KEWPIEチャンネルは、
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前田有紀
ナビゲーター/前田有紀
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