過酷だけど楽しいトレイルランニング
山梨県在住の山本健一さんは、収録当日のお昼ごろに都内のスタジオにお越しくださいました。当日は朝5時に起床して、なんと自転車を30km走らせてから上京されたのだとか。そんなアスリートならではの過ごし方に驚かされたところで、まずはトレイルランニングについてお話をうかがっていきます。
前田: ヤマケンさんは、日本山岳耐久レースを4回目の挑戦で優勝なさっていますが、山道71.5kmを24時間以内に走るって、どれほど過酷なのか想像ができないんですけれども。
山本: トレイルランニングって、山道のマラソンなんですよ。ハセツネ(「日本山岳耐久レース(24時間以内)~長谷川恒男CUP」の通称)というのは、東京の山の中を71.5km、アップダウンのある道を一昼夜かけて走るというレースです。参加者は2,500人ぐらいいて、みんなでゴールを目指すんですね。ハセツネで優勝してから僕が今一番ハマっているのが、100マイルといって160〜170kmの距離を走る山のレースです。160kmって言うと、東京から箱根を往復するぐらい。
前田: かなりの距離ですね!
山本: それに、山なので高低差があるじゃないですか。それ(高低差)が大体富士山を4回登るぐらい。そのぐらいの距離を走るというレースなんですよね。
前田: 富士山を4回ですか!数字を聞くとすごく辛そうっていう印象なんですけど、楽しそうにお話されますね。
山本: そうですね(笑)。夜眠くなったり、辛い部分ももちろんありますね。ただやっぱり起伏があるので、平らなところをずっと走っているよりも変化があって、なぜか不思議と走り切れちゃうっていうか。トレイルランニングの厳しさと魅力の両方を感じて、いつも楽しんでいます。
前田: 起伏がある分、景色にも豊かさがあるのかもしれないですね。
山本: 景色の変化ってのはすごいですね。はるか向こうに見える山頂に数時間後には到達していて、振り返ると数時間前にいたところがすごく遠くに見えたりするのは不思議な感覚です。(レース中に)夜と朝をいつも迎えるんですが、それもまた夕日と朝日がすごいですね。距離は過酷なんですけど、楽しい瞬間があっていけちゃうっていうのがトレイルランニングなんですね。
前田: 舗装された道路を走るマラソンとは、見える景色が全然違うものなんだなと思いました。
道に起伏がある分、景色にも豊かさがあるんですね
不純な動機(?)で踏み入れた山の世界
100マイルという、多くの人にとって未知の距離であるレースのお話を笑顔で楽しげに語るヤマケンさん。話題はヤマケンさんと山との出会いから、これまでのスポーツ経歴へと移ります。(上の写真提供:藤巻 翔)
前田: ヤマケンさんの山との最初の出会いはどんなものだったんですか。
山本: 僕は山梨県韮崎市という山のすぐ麓に住んでいて、生まれもそこなんですよ。最初に山に触れたのは、実は家の庭からですね。親がゴルフをやっていたので、ゴルフのクラブとボールがいつも倉庫の前に置いてあって。それを自分もいつからか使って、山にゴルフボールを打ち込むという。
前田: えー!山に向かって?
山本: 野山に向かって打ち込んで、10球打ち込んだら走ってボールを探しに行くっていう遊びを一人でしていたんですね。これは大体、小学校高学年から中学ぐらい。そこから山に親しみというか、山の中の生活みたいなものを感じて、山の世界に入っていったわけですけども。時は流れて韮崎高校に入って、高校で何をしようかなと思ったんですね。
前田: (韮崎高校は)結構サッカーも有名だったりしますよね。
山本: そうなんですよ。韮崎はサッカーの街で、 有名な選手もたくさん輩出していますけど、僕はその中で山を選んだんです。山を選んだ理由っていうのが、ちょっと不純な動機でして。高校の教員をしている自分の父親が、「お前が高校2年生の時に山梨でインターハイ(全国高等学校総合体育大会)があるぞ」とふと言いまして。なぜかその言葉に反応して、地元開催のインターハイで優勝したいなという風に思ったんですよ。それまでは農家になろうと思っていたんですけど、その言葉を聞いた瞬間に思考がガラッと変わっちゃって。(思考回路が)ちょっとシンプルで、思ったことをすぐ行動に移しちゃうんですけど。それで色々調べた結果、どうも韮崎高校は山が強いぞと。地元の開催だから(会場である)地元の山に行ける回数が多くて、一番優勝に近いんじゃないかなということで、それだけの理由で山岳部を選んだんですね。
前田: インターハイがあったことがすごく大きかったんですね。優勝を目標にされていて、結果はいかがだったんですか?
山本: 当時、韮崎高校(山岳部)には25人ぐらい部員がいたんですけど、(出場できる)選手は4人しか選ばれなくて。自分が高校2年生の時、無事に選手になることができて、県大会で優勝して(インターハイに進み)、全国大会も優勝できました。
前田: すごい!目標を達成したんですね。
山本: そうです。でも地元のインターハイで、先生も部員たちも「俺たちは優勝するんだ」ってずっとずっと言っていたんですよ。 なので、優勝してもちろんうれしくて、涙も流したりしたんですけども「よっしゃ、目標達成したな」っていう。わーって大騒ぎするんじゃなくて、みんなで握手して「やったな」みたいな。
前田: 静かに喜びを分かち合っていたんですね。そして、そのままトレイルランニングとの出会いもうかがっていきたいなと思うんですけど。
山本: 大学に入る時に、これまたちょっと非常に単純な思考回路なんですけど、高校の山岳部に在籍していた冬のある日にテレビを観ていたんですよ。オリンピックの総集編みたいなのをやっていて、モーグルの映像が流れたんですね。それが非常にカッコよすぎて、観た瞬間に痺れまして。オリンピックの映像だったので、俺はこれ(モーグル)でこの人たちと同じようにオリンピックに出るぞと。それで、色々環境を探していった時にたどり着いたのが長野県の信州大学でした。
前田: モーグルで進学先を選ばれたんですね。
山本: それだけで大学を選んだんです。しかも信州大学って、学部ごとにキャンパスが長野県内にいっぱい分かれているんです。一番スキー場が近いキャンパスが教育学部だったので、教育学部に行ったんです。
前田: 山との近さで教育学部を選ばれたんですね。
山本: (大学では)毎日スキー(モーグル)をして楽しくトレーニングしたんですけど、モーグルでは怪我もしたり、あまり芽は出ずに終わったんです。そのモーグルのトレーニング中にあるおじさんに声をかけられて、「君はいい体格をしてるけど何をしているんだい?」って言われて、「モーグルをしていて、夏はトレーニングをしています」みたいな話をしたら、山岳レースに出てみないかと山の世界にスカウトされたというか。そのおじさんとの出会いが、トレイルランニングを始めるきっかけになりました。
前田: その声を聞いてやってみようかなと思ったんですか?
山本: はい。当時のモーグル選手は(雪のない季節は)みんな山を走っていて、そういう映像も観てカッコいいなと思っていたんですよ。だから俺もやろうと思って、本当に全て一瞬でパンパンパンと決めて。
前田: すごいですね。決断した時にそのまま行動に移されているのがすごいなと思いました。
山本: 純粋というか単純というか、本当にそういう感じです。
地元のインターハイで優勝したくて高校では山岳部に入りました
本当に優勝して目標を達成されたんですね
ホクホク!大好き!たらこ風コロッケ
ゲストにGREEN KEWPIEを使った料理を食べていただく「みんなにうれしいGREEN KEWPIEレシピ」のコーナー。1品目は、タネに「植物生まれのパスタソース たらこ風」が入ったコロッケです。付け合わせのたらこマヨ風ディップにも、同じパスタソースが使われています。果たして、コロッケが大好物だというヤマケンさんの反応は?
前田: ヤマケンさん、一番好きな食べ物はなんですか。
山本: これは間違いなくコロッケです。必ず昔から、何かあるって時はコロッケでしたね。
前田: お子さんの時から好きだったんですね。今回はそんなヤマケンさんのために、GREEN KEWPIEの商品を使ったコロッケをご用意しました。 題して、『ホクホク!大好き!たらこ風コロッケ』です。
山本: やったー!これは間違いなくおいしいでしょうね。
前田: 本当に昔懐かしい感じのじゃがいものコロッケですよね。これはですね、じゃがいもの中に玉ねぎとにんにく、そこに「植物生まれのパスタソース たらこ風」を加えました。タネとパン粉のつなぎには、「HOBOTAMA 加熱用液卵風」を使っています。
山本: 家で揚げるコロッケと、サイズとか衣の感じとかが似ています。
前田: 衣も細かい感じですごく食べやすそうですよね。
山本: これはもう食べる前からおいしいってわかっているんですけど。
前田: あはは。横に添えてあるのが「植物生まれのマヨネーズタイプ」と「植物生まれのパスタソース たらこ風」を混ぜたものです。ではどうぞ。
山本: いただきます。おいしい!外がカリカリで。
前田: ホクホクしていますよね。私もいただきます。あんまりじゃがいものコロッケでたらこ風のものが入っているっていうのは想像つかなかったんですけど、合いますね。
山本: 合います、合います。
前田: ちょっとピリッとしているのはゆずこしょうも入っているんですね。ちょっと大人の味わいで、いろんなドリンクと一緒に食べても合いそうですよね。
山本: お家でもこの味は作ってみたいですね。
前田: お子さん用はゆずこしょうは入れずに、大人用はちょっと大人な味付けにしてもおいしそうですね。ヤマケンさんはコロッケ大好きということですが、ご自宅でもよく作られているんですか?
山本: そうですね。昔は母親に作ってもらっていたんですけど、結婚してからは自分の10月の誕生日に、年に1度のコロッケパーティーを行っています。
前田: いいですね!1回にどのくらい作るんですか?
山本: 大体50個ぐらい作って、そのうち自分は20個ぐらい食べます。
前田: すごくいっぱい食べますね!
山本: 小さい頃のあだ名はコロ助だったくらいコロッケ大好きなので、家族もそれを知っていて、僕にいつもたくさんくれます。
前田: コロッケっておいしいですし、親が作ってくれたりして私も本当に思い出の味なんですけど、中身を変えるとまた違う味わいになりますよね。
山本: 今回また新しい味との出会いがあって。
前田: そうですね。ぜひ次の誕生日に取り入れてもらいたいレシピです!
外カリカリ、中ホクホクでおいしい!
じゃがいものコロッケとたらこ風、合いますね
山という“非日常的空間”では全てがそぎ落とされる
どこか懐かしさを感じるじゃがいものコロッケに舌鼓を打つ二人。話題は再び山へと戻り、幼少期から山に馴れ親しんできたヤマケンさんだからこそ知っている、山で感じる喜びについて聞いていきます。
前田: 先ほどもお話いただいたように、ヤマケンさんはモーグルをされながら、その後にトレイルランニングの世界に入っていかれたということですが、実際に山に入って、山の中を走る喜びってどんなものでしたか?
山本: あっという間に時間が経っちゃうところがあって。(山の中は)非日常的な空間で、厳しいところもたくさんあるんですけど、でもその先に必ずいい景色があったり、降りた山小屋にいろんな人がいてそこで話をしたり、そういうのはすごく楽しいですね。
前田: 山にいると、1日があっという間に過ぎていくって感じなんですかね。
山本: そうですね。朝に山に入って、気が付けば夕方になっていたり、そういうことが多いです。
前田: どんどん夢中になっていかれたんですね。 無心になって楽しんでいられたっていうのもあったんですか?
山本: そうですね、全てがそぎ落とされるというか。普段考えることが多いじゃないですか。仕事のこととか、勉強のこととか、人との付き合いのこととか。そういうものを全く考えなくなる感じですね。
前田: 今ってみんなマルチタスクで忙しい方が多くて、1日の中で無心になれる時間ってすごく少ないと思うのですが、ヤマケンさんはトレイルランニングを通して、山の中で無心になる時間を得られているんですね。
山の中を走る喜びってどんなものですか?
厳しいことの先に必ずいい景色があるのが楽しくて、あっという間に時間が経ちます
山では無心になり、全てがプラスだと感じられるのがうれしい
非日常的な山の中という空間で、頭と心を空っぽにして夢中で走り続けるヤマケンさん。そんな彼が山の中で感じるうれしい瞬間とは。
前田: 最後にうかがいたいんですが、ヤマケンさんにとって、山にはどういううれしい瞬間がありますか。
山本: 山は非日常的な空間で、そこに身を置くことで全てを受け入れることができて、それによって自分の気持ちが無心になるんですね。厳しいこともうれしいこともあったりするんですけども、そういうものを全て含めてプラスだと感じられるところ。そういうのがうれしい瞬間ですね。
前田: 過酷な競技の先にはいいこともたくさんあるという感じですね。
山本: 僕の中ではいいことしかなくて。全ていいことに向かって動いているっていう、そういう気持ちになれるところがとてもうれしいです。
厳しいこともうれしいことも全て含めてプラスだと感じられることがうれしいです
トレイルランニングの厳しさと魅力の両方をいつも楽しんでいます