高齢期の正しい水分補給

わたしたちの身体にとって栄養と同様に大切なのが「水分」。
ここでは、高齢期の水分不足の原因と予防法を解説します。

正しい水分補給法で、健康な毎日を目指しましょう。

体に必要な「水分」

わたしたちは、体に必要な水分を体液(血液、リンパ液、唾液、消化液、尿など)として蓄えています。
体液には、身体の状態を維持する大切な役割があります。

加齢に伴い体重が減ると、蓄えられる水分量も減ってしまいますが、特に血液、尿、汗の量が減ることは、健康状態にも影響を与えます。
高齢者は水分不足に陥りがちなので、注意が必要です。

体にはどのくらいの水分が
蓄えられているの?

体重に対して、乳児は約70%、成人男子は約60%、高齢者は約50~55%といわれています。
水分量を保つためには、1日に入る水分量と出る水分量のバランスを保つことが大切です。
排泄(尿・便)、呼気、汗などから1日におよそ2500mlの水分が失われます。それを補うためには、飲み物や食べ物から同じだけの水分を摂り入れなければなりません。
体格や食事内容にもよりますが、食べ物に含まれている水分を除き、飲み物から最低でも1日1,200ml程度の水分を摂ることが推奨されています。

出典:環境省熱中症環境保健マニュアル(2014)

健康と料理社発行「素早く見つけて、すぐ対策!脱水症状」より作画

水分は「こまめに摂る」

水分不足の予防は、日常生活の中でこまめに水分補給することが大切です。一度にたくさん飲んでも排泄されてしまい、蓄えられないからです。一般的に1日あたり1,200ml以上の水分を摂ることが望ましいとされています。
コップ1杯を200mlとすると6杯分以上になるため多く感じるかもしれませんが、図のように水を飲むタイミングを習慣づけると、続けやすいでしょう。
特に就寝前と起床時は、睡眠により長時間水分を摂らない状態が続くので、忘れずに摂るようにしましょう。

健康と料理社発行「素早く見つけて、すぐ対策!脱水症状」より作図

食事からも水分補給

1日の水分摂取量は、飲み物だけでなく、水分を多く含む食品に含まれる水分量も合計して考えましょう。
例えば、ごはん100gには52.1gの水分が含まれていますが、おかゆや雑炊、やわらかく煮込んだ野菜のスープ、煮物や蒸し物など、調理法を変えるだけでも水分は増やすことができます。

しっかり食事を摂ることは、栄養不足だけでなく脱水の予防にも大切です。

水分を多く含む食品(100gあたりに含まれる水分量:単位g)

日本食品標準成分表2015年版(七訂)より

出ていく水分も意識して

推奨されている水分量を摂っているつもりでも、出ていく水分があることを忘れていると、いつの間にか水分不足になっていた、ということもあり得ます。

コーヒーや緑茶などは利尿作用があるので、水分補給のためには麦茶や水がおススメです。

体を動かした時には汗から水分が失われますし、お酒を飲んだ時にはアルコールを分解するために水分が使われます。そのような時は、意識して多めに水分を摂りましょう。

生活の中での水分不足予防を
意識して、
無理なくこまめに水分補給を
することで、
健やかな毎日を過ごしましょう。